| タイトルのこの言葉は、スターバックスのハワード・シュルツ会長の言葉です。
 あまりにいい言葉で、そして耳に残りやすい言葉で、とても共感しています。
 小売業にせよ、サービス業にせよ、この業態はディテールの積み重ねが
 お客様に提供できる付加価値を作り出します。
 もちろん、時には、革新的なアイディアが大きな価値を作り出すこともあるんですが、
 そんな革新的なアイディアなんてそんなに出やしないのです。
 そうなると結局どれだけ積み重なったか、どれだけ顧客の見えないところで汗をかいたかが、
 くさい表現ですがその店の価値の厚みを決めるのです。
 私はその昔、ヒルトンというホテルで少しの期間働いていたことがあります。
 ベルマンの仕事でした。
 当時私はヒルトンマンから多くのことを学びました。ディテールの極みともいう、ミクロな仕事の積み重ねでした。
 フロントにある大理石の灰皿の位置は、奥の壁からタイル13枚目半の位置と決まっていました。
 それは、よくよく見ると、従業員の作業動線を邪魔しない、
 そして、朝のラッシュの時間に
 ゲストがチェックアウトに並んでも
 ちょうど邪魔にならない位置でした。
 フロントのペン指しにさしてあるヒルトン特製のゴールドの美しいボールペンは
 右に45度の形で常に統一されていました。
 その角度は、ゲストがサインするときに
 一番自然に手に収まる角度でした。
 ホテルのエレベーターのドアが何秒で閉まるかも全部わかっていました。
 それは、ゲストをエレベーターの外でお見送りするときに、
 頭を下げるタイミングに深くかかわっていました。
 つまり、ドアがしまるちょっと直前に
 「それでは楽しい時間をお過ごしください。」
 と頭を下げた瞬間にドアがさりげなく閉まるのが
 美しい別れであるわけです。
 そのタイミングを間違えて、早く頭を下げすぎると、
 ゲストも気まずいし、
 頭を下げている自分もきまずい時間が生まれるわけです。
 そんなわけで、ディテールが生み出す美しいサービスを私はヒルトンで教えてもらい、
 そして自分でそれを常に考えていました。
 Retail is Detail を私になりに言い換えると、 Detail is beautiful 「ディテールは美しい」 |