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25. 「お客さまがまったくこない。」〜失望そして迷い〜

オープンしたのは、2006年1月8日でした。
オープン三日間を大盛況で迎えた後、まさかといった状況に陥りました。

お客さまがまったく来ないのです。
1月8日には500人以上を数えた顧客数でした。
それが・・・。

忘れもしない2005年1月28日。
総テーブル利用数=3卓。客数12人。
売上350元(日本円で5000円満たない)。

これがその日の営業成績でした。
店舗は52テーブルを有し、252席も提供できる店です。
店に常時いる従業員数だけでも30人をゆうに超えます。
そこにたった12人のお客さまと5000円に満たない収入。

こんな状況はその日に留まりませんでした。
まさに連日このような状況が続いたのです。
そして営業開始後1ヶ月たった2月にはいっても状況は変わりませんでした。
完全に自信を無くしていました。
それでも従業員の前では強気でいる必要がありますので、
「お前たち心配するな。店が発展するには過程というものがあるんだ。
今の状況だって事前に予測したとおり。いわば計画済みだよ。はっはっはっ。」
とそれでも息巻いていたのです。

一方で気持ちはあせっていました。
自分の考え方の何かが間違っていたことはすでに明白です。
理屈から考えれば、それを修正すればいいのです。
ただ、当時の私には何が間違っていたのか特定できなかったのでした。

元コンサルタントだった私が、自分をコンサルティングできずにいたのです。
他人の意見を聞くことにしました。
地元企業で、マーケティングのコンサルティングをする企業や、
テレビ局のプロデューサーで
オープン当時のわれわれの店を担当した人間にも声をかけました。
すると全員が自信満々な様子で持論を私にぶつけてきました。

私は、牛牛福の問題点と解決方法について
3社に提案(プレゼンテーション)をさせることにしました。
そのプレゼンテーションはさんざんでした。
自信を無くしていた私のプライドを地の底に突き落とすような、酷評の連続でした。

・ 味が悪い
・ サービスが遅すぎる
・ 従業員の笑顔が悪い
・ 宣伝がたりない
・ 成都人の舌をあまりに理解していない
・ 新しい焼肉屋というもののまったく特徴がない
・ 内装がかっこ悪い
・ 従業員に美人がいなくてブサイクばかり

私を特に怒らせたのは、従業員がブサイクばかりだと言われた時でした。
私は猛然と
「すみません。レストランの商売と従業員が美人であることが
それほど重要な関係があるのですか?」
「あります。大ありです。」
ととあるマーケティング会社は断定しました。
「考えても見てください、あの(とある)繁盛店の従業員は皆美男美女でしょ。」

その瞬間目が覚めました。

こいつらは、商売の本質なんてなにもわかってない。
経営者を不安に陥れて、自分たちの商品をうりつけるだけの輩でしかない。
こんなやつらに自分の店の将来を決められてたまるか。
失敗しても、自分の将来は自分で決める。
もうこんなやつらの話を聞くのはうんざりだ。

私は、弱気になっていた自分を反省しました。
そしてもう一度自分でいちから考えることにしました。

レストラン商売の本質と原則はなにかということを、静かに考え始めました。


2007年9月10日(月) <<前へ  次へ>>