■柳田洋・北京からの画像便り No.418 ■


レンタカー

私が住んでいるマンションのエレベーターの
電子広告板にあった神州租車という
レンタカー会社の広告です。

2010年12月31日までのお試し価格とは言え、
シトロエンのエリーゼが1日50元(625円)、
GMのビュイックエクセルが100元(1,250円)、
トヨタのカムリが200元(2,500円)。
車体価格が何十万元(何百万円)も
することを考えると破格の値段設定です。
こんな価格設定では利益どころか、
車体価格も回収できないのではないかと、
他人事ながら心配になります。

従来、中国では車は借りるものではなくて、
買うものでした。
なぜなら、車は単なる移動の手段ではなく、
マイカーを持つこと自体が、
1つのステータスであり、
持っている車が、その人の社会的な
成功度合いを示していたからです。

しかし、最近は
高度経済成長による所得の増加により、
マイカーを買う人が爆発的に増えました。
このため、マイカー通勤する人は、
渋滞でいつまで経っても会社に着けず、
マイカーでデパートに買い物に行く人は、
駐車場が空くまで、何時間も車内で
待たされるようになってきました。
今の北京では、マイカーは、
決して便利な交通手段とは言えません。

そんな中で、普段の通勤や買い物には、
地下鉄やバスなどの公共交通機関を使い、
週末、郊外に遊びに行ったりするときだけ、
レンタカーを借りる、という合理的な考え方を
持つ人が出てきてもおかしくはありません。
最近、レンタカーの広告を
よく見るようになってきたのも
そうした人が増えて需要が出始めている、
ということなのでしょう。

マイカーブームが続く中国ですが、
中国の人たちの心の中では、車の位置付けは、
従来のステータスシンボルから単なる交通手段へと
既に変化しつつあるのかもしれません。

撮影日:2010年10月22日(金)
撮影:柳田洋


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