■柳田洋・北京からの画像便り No.407 ■


映画館

北京の東四環路の外側にある
団地の中にあった映画館です。
レトロな外観が、
高度経済成長が始まる前の、
昔の中国、という雰囲気を
醸し出しています。

中国では、繁華街ではなくて、
こうした住宅地のど真ん中に
映画館を見つけることがよくあります。
この理由は私が思うに、
1つは、昔は庶民の娯楽が
非常に少なかったこと。
もう1つは、昔は映画が
中国共産党のプロパガンダの
重要な一手段であったことです。

住宅地のど真ん中に
小規模な映画館をたくさん作ることによって、
地域住民に娯楽を与えるのと同時に、
共産主義教育をしていたのでしょう。
ただ、こうした映画の役割は、
今ではテレビに取って代わられ、
こうした地域の小さな映画館は、
どんどん淘汰されているようです。

この写真の映画館も、
現在では使われていないようです。
「夕食後、近所の映画館に
家族揃って映画を見に行くのを楽しみにする」。
そんなささやかな幸せも、
昔に比べて圧倒的に娯楽が増えた
今の中国では、既に
忘れ去られてしまっているように思います。

撮影日2010年8月1日(日)
撮影:柳田洋


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