■柳田洋・北京からの画像便り No.376 ■


南新倉
近代的な高層ビルをバックに立つ中国式の古風な建物。
これは、北京の東二環路・東四十条にある
「南新倉(なんしんつぁん)」です。
「南新倉」は明代初期、1409年に建てられた
600年の歴史を持つ食糧倉庫です。
このレンガ造りの食糧倉庫には米や粟が蓄えられ、
明、清、両王朝の台所を支えました。
清朝の乾隆帝の時代には76棟を数えた「南新倉」ですが、
新中国成立後、再開発のために次々と取り壊され、
今ではわずか9棟を残すのみとなってしまいました。
しかし、現在、その9棟は
「南新倉文化レジャー街」として再開発されて
レストランやギャラリーが入り、
東二環路の内側という一等地にありながら、
昔の姿のまま保存されることになっています。
中国で昔の建物を生かした再開発、と言えば、
上海の「新天地」が有名ですが、
さすが北京は歴史の街、
「南新倉」は600年の歴史ですから、
「新天地」の比ではありません。
しかし、そんなすごい歴史を持っているにも関わらず、
「南新倉」の知名度は「新天地」の足元にも及びません。
やはり北京は政治の街。
商売のセンスでは上海人の方が、
1枚も2枚も上手なのかもしれません。

撮影日2010年1月4日(月)
撮影:柳田洋


前 へ 閉じる 次 へ