■柳田洋・北京からの画像便り No.334 ■






前門大街

これは映画のセットではありません。
昨年の北京オリンピックに合わせてリニューアルされた
前門大街(ちぇんめんだーじえ)です。
一番奥に見える前門はホンモノですが、
歩行者天国になっている通り沿いにある建物は
全て清朝末期から中華民国時代に
前門大街に建っていた建物を模して
新たに建てられたものです。
道の真ん中にある2本の軌道には、
真ん中の写真のようなこれも昔の路面電車を模した
観光用の電車が走っています。
そして1番下の写真は、1830年創業の
老舗のシルク製品屋さんです。
前門大街と言えば、
リニューアル前はたくさんのお店と人がごったがえす
カオス状態の場所でした。
しかし、それがまた雑然とした古き良き
北京の下町の雰囲気を醸し出していました。
北京市政府はこの前門大街を、
上海の「新天地」のような
新たな北京の観光の目玉にしよう、ということで、
リニューアルを行ったのだと思いますが、
なんとなく「作りもの感が強い中国風テーマパーク」、
と言った感じの場所になってしまいました。
そして残念ながら昔の前門大街の
雑然としたホンモノの下町風情は消えてしまいました。
古い街並みはいずれは再開発が避けられないことは
理解できますし、
昔の街並みを模してリニューアルをした努力も認めます。
しかし、中国政府は一度壊してしまったら
二度とは再現できないホンモノの街の「空気」
というものがあることを良く理解すべきであると思います。

撮影日:2009年3月15日(日)
撮影:柳田洋


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