第1532回
過激化する中国のバーゲンセール
中国でバーゲンセールがどんどん過激になっています。
先日、上海のデパート・
巴黎春天(ぱりちゅんてん)の五角場店では、
従来の「188元購入で100元還元セール」を改め、
10日間限定で特定時間帯に
「99元購入で70元還元セール」を行ったところ、
お客が殺到したそうです。
一般的に中国のデパートの
こうした還元セール式のバーゲンセールは、
現金を還元するわけではなく、
次回の買い物のときに使えるクーポン券を還元します。
しかし、それにしてもですよ、
「188元購入で100元還元セール」でも既に53%引きなのに、
「99元購入で70元還元セール」に至っては71%引き。
いくらバーゲンセールとは言っても、
こんなに値引きして利益が出るのか他人事ながら心配です。
そして、更にデパートに出店している店舗は、
一般ブランドで売上の30%、
デパート側が出店してほしい有名ブランドでも
売上の25%をデパート側に出店料として払わなければなりません。
デパート主催のバーゲンセールのときには、
デパート側も出店料を売上の15%程度まで落とすそうなのですが、
10%以下しか払えない店舗も多く、
デパート側も売上が通常の3倍以上にならないと
話題作りだけで利益にはつながらないのだそうです。
私が中国に来たばかりの15年前、
中国のデパートは店員がひまわりの種を食べたり、
同僚とおしゃべりしたりしながら、
「売ってやってもいいよ」という
高飛車な態度でモノを売るところでしたので、
当然価格は定価販売、
バーゲンセールなど夢のまた夢でした。
しかし、その後中国は
経済成長に伴って急速に物資が豊富になり、
デパート間の競争が激化、
最近では、スーパーやネット販売という
強力なライバルも出現し、
デパートも昔のような高飛車な販売態度を続けていては、
座して死を待つのみ、という状況になってきました。
しかし、消費者の立場からすれば
「バーゲンセールのときに70%以上も値引きできるなら、
最初から安く売れ!」と言いたいところです。
中国のデパートのバーゲンセールが過激になればなるほど、
消費者は普段、定価で買うのがバカバカしくなり、
欲しいモノがあってもバーゲンセールまで
ガマンするようになってしまうのではないかと思います。
体に悪いことはわかっていても、
一度手を出すと止められなくなる
麻薬のようなバーゲンセール。
中国の消費者は日本の消費者と比べて、
「割引」とか「バーゲン」という言葉に
敏感なのはよくわかるのですが、
中国のデパートは果てしない安売り競争で
身をすり減らすのではなく、
「付加価値を付けていかに高く売るか」ということを
そろそろ考え始めた方がよいのではないかと思います。
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