第1533回
日本人と中国人は違うことを知る
さて、約10年間ご愛読頂いた
この「中国ビジネスのススメ」も、
残すところあと1ヶ月となりました。
最後の1ヶ月はこの10年間の集大成として、
私が中国に住んで、中国で起業して、
そして「中国ビジネスのススメ」を書くことによって
さらに深まった中国ビジネスや中国社会についての知識を
読者のみなさまと共有したいと思います。
まず、この「中国ビジネスのススメ」の記念すべき第1回、
2002年11月1日のコラムは
私が星巴克(しんばーかー、スターバックス)で
おつりを投げ返されて憤っているところから始まります。
私は2002年11月の時点で、
すでに北京に6年半住んでいますので、
もう慣れていてもよさそうなものなのですが、
やはり、生理的に受け付けない、というか、
相手に悪気がないことは頭ではわかっていても、
おつりを投げ返されるとどうしても腹が立ってしまいます。
「中国で生活する」ということは、
「日本人と中国人がいかに違うかということを知ること」
の連続です。
欧米人やアラブ人の習慣がわれわれと違うのは
なんとなく心の整理がつくのですが、
日本人と中国人は同じ黄色人種で
なまじ顔形が似てしまっているため、
どうしても同じ考え方をすることを前提に
接してしまいます。
しかし、冷静に考えてみれば、
全く違う環境、全く違う教育、全く違う常識の中で育った人が
同じ考え方や価値観を持つことなどありえません。
これは同じ国の人同士でも同様です。
日本人と中国人の間に発生する問題の多くは、
お互いに「相手が自分と同じ常識や価値観を持っている」
と考えることが原因になっており、
それが不幸の始まりであると私は感じています。
年々悪化の一途をたどる日中間の国民感情。
しかし、
@「お互いのことをもっとよく知ること」、
A「知った上で日本人と中国人は常識や価値観が
違うことを理解すること」、そして
B「違うことを理解した上で、
お互いの常識や価値観を尊重すること」。
この3つのステップを多くの日中両国民が踏んでいけば、
両国間の不必要な摩擦や衝突を回避し、
ひいては共存共栄のwin-winの関係を
築いていくことができるのではないか、
と私は思います。
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