第1520回
党校副校長は指名手配犯
今年5月、虚偽納税領収書発行の疑いで指名手配され、
13年間逃亡していた末に逮捕された男の
初公判が開かれました。
ここまでなら特に珍しくもないニュースなのですが、
この男、「逃亡していた」と言っても
どこかに潜伏していたわけではなく、
偽名を使って中国共産党に入党、
その中でどんどん昇進し、2010年4月には、
江蘇省張家港市共産党委員会の幹部である
党校副校長にまで上り詰めていたのです。
この男は1963年生まれ。
大学卒業後、新聞記者をしていましたが、
1994年ごろから浙江省金華市で
総額1900万元(2億3,750万円)の虚偽納税領収書を発行し、
巨額の利益を得ました。
しかし、1998年に金華市で
大規模な虚偽領収書発行事件が摘発されて
3人が死刑判決を受け、
この事件をきっかけに男にも指名手配がかかり、
男は四川省に逃亡しました。
その後、偽名を使って偽の身分証明書や戸籍、
大学の卒業証明書などを手に入れ、新聞社に就職、
中国共産党に入党後はめきめきと頭角を現し、
張家港市の党校副校長にまで上り詰めた、というわけです。
しかし、2011年9月に副校長が実は指名手配犯である、
ということが発覚し逮捕されました。
5月の初公判で同氏は
「いつ発覚するかとずっとびくびくしていた。
身を清めようと努力し、罪滅ぼしにと
貧困家庭の児童たちを支援してきた」と語りました。
ウソで固めた人生。
本人は逆に「捕まってホッとした」というのが
本音なのではないでしょうか。
それにしてもお粗末なのは、
偽造の身分証明書や戸籍にコロリとだまされ、
市の幹部にまで昇格させてしまった中国共産党です。
この男、偽造納税領収書の発行で
指名手配されていたわけですから、
公文書の偽造はお手のものであることはわかります。
しかし、それにしても10年以上も偽名を見抜けず、
さらに市の幹部にまでしてしまうとは、
チェックが甘すぎます。
もちろん、この男、能力があり、努力もしたから
中国共産党の中で昇進したのでしょうが、
過去の罪は過去の罪で償わなければなりません。
彼がきちんと罪を償って出所し、
今度は本当の名前で正々堂々と
より良い社会のために
その能力を生かすことを期待します。
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