第1521回
微博に減点制導入

駐車違反1点、追い越し違反2点、
減点が15点に達すると免許取り消し。

日本でも中国でも自動車運転免許には
こうした減点制が採用されていますが、
中国ではこのたび、
微博(うぇいぼー、マイクロブログ)でも
この減点制が採用されることになりました。

3億人以上の利用者がいる中国の微博大手・新浪微博は、
デマや他人への侮辱、デモを扇動し社会秩序を乱すなどの
つぶやきを発信した場合、
80点の持ち点が徐々に減少していく減点制を導入しました。

この減点制によれば、
問題発言を5回以上つぶやいた利用者は、
運転免許の「免許停止」と同じように
48時間「つぶやき禁止」。
そして、点数がどんどん減って60点以下になると、
利用者のページに「低信用」というマークが付き、
点数がゼロになると運転免許の「免許取り消し」と同様、
アカウントを強制的に削除されてしまうのだそうです。

中国共産党は昨年末以降、微博の実名登録制を開始。
今年3月に「北京でクーデター発生」のデマが
微博に流れてからは規制を強化し、
今回は今年秋に行われる共産党大会に向けて
国内情勢の安定を最優先するために規制をさらに強化した、
という位置付けになります。

ツイッターなどの外国資本を排除し、
新浪など中国資本の会社に市場を独占させてたっぷりと儲けさせ、
その見返りとしてこうした規制に協力させる。
いよいよ中国共産党が今まで準備してきた、
情報統制の仕組みを稼動させ始めました。

昨年のアラブの春のとき、
猛威を振るうツイッターやフェイスブックに業を煮やした
エジプトのムバラク元大統領は、
国中のインターネットをすべて使えなくする、
という暴挙に出ました。
しかし、結果的にはそれが多くの国民の反感を買い、
最終的には政権が打倒されるという結末を見ました。

これに対し、中国共産党の情報統制は、
ツイッターやフェイスブックの代わりに、
新浪微博や人人網(れんれんわん)など規制に協力してくれる
中国資本の会社のサービスを
網民(わんみん、ネット市民)に与えて、
まともな使い方をする大多数の網民のガス抜きをし、
徹底的な監視により少数の反政府分子を選んで
ネット上から排除する、という
非常に巧妙なやり方をしています。
これならネット上のサービスが使えない網民の不満が
中国共産党に向くこともありません。

反政府網民は悪いが、普通の網民は悪くない。
日本政府は悪いが、日本国民は悪くない。
対象を少数の悪者と多数の大衆に分けて、
大衆は絶対に敵に回さない、というのは
中国共産党の常套手段ですが、
今回の情報統制でもその基本が
忠実に守られているように私は思います。





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2012年7月4日(水)

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