第1518回
巧妙化する中国のカンニング
全国大学統一入試、通称「高考(がおかお)」。
これは日本で言う大学入試センター試験、
我々の世代だと共通一次に相当します。
中国の大学は欧米と同じく9月入学ですので、
「高考」は毎年6月から7月にかけて行われます。
大学や専攻ごとに二次試験が行われる日本と違って、
中国ではこの「高考」一発勝負で入学する大学、
ひいては自分の人生が決まってしまいますので、
受験生が「高考」に賭ける意気込みには
並々ならぬものがあります。
一発勝負で合否が決まってしまう、ということになると、
「高考」の点数ほんの1点の差で
人生が変わってしまうこともあり得るわけですから、
当然、カンニングをして少しでも高い点数を取ろうという、
不届きな輩が出てくることになります。
従来はカンニングというと、
筆箱の中にカンニングペーパーを忍ばせたり、
消しゴムに小さい文字をびっしりと書いたり、
というアナログなものが多かったのですが、
科学技術の発展により、カンニングの方法も
年々巧妙且つ高度になりつつあるようです。
先日、北京の「高考」を実施する北京教育試験院は、
巧妙化しているカンニングの方法と対策を
同院の試験官に伝授しました。
それによれば、近年発覚した例では、
定規に仕込まれた受信機で外部からの特殊な信号を受け取り、
回答をLED(発光ダイオード)で表示するもの、
メガネに信号受信機が埋め込まれていたものなどが
あったそうです。
これらはいずれも普通の定規、
普通のメガネと比べてもやや厚い程度であり、
一見しただけでは判別は難しいのだそうです。
また、ガム型の信号発信機もあり、
歯の動きで外部に対して信号を発信できる、
とのことです。
ただ、こうした科学技術を利用したカンニング機器は、
いずれも信号の送受信が必要であるため、
信号探査機で信号の出所を探知することによって
発見は可能なのだそうです。
巧妙化する中国のカンニング。
13億人という膨大な人口の中で勝ち上がっていくためには、
手段など選んではいられない、
という気持ちになるのもわからないではありません。
しかし、先進の科学技術を駆使した
カンニング方法を考えているヒマがあったら、
一生懸命勉強して正々堂々と試験を受け、
自分の実力に合った大学に入ることが、
最終的にはより良い人生を歩むことに
なるのではないかと私は思います。
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