第1513回
指名手配犯トランプで犯人逮捕

「おい、このダイヤの8の男。新入りの王に似てないか」
「おー、似てるな。罪状は窃盗。懸賞金は5000元か」
「オレ、派出所に行って警察官連れてくるよ」
中国では将来、こんな形で
指名手配犯が捕まるようになるかもしれません。

今年4月、広東省広州市公安局刑警支隊は、
54人の指名手配犯の顔写真をトランプにして、
5万セットを市内の工場地区、建設現場など
犯人が潜んでいそうなところに無料で配布しました。

このトランプには指名手配犯の顔写真のほか、
氏名、性別、身長、出身地、罪状、懸賞金額が印刷されており、
裏には「逃亡犯を捕まえろ」と書かれた
手帳をかざした警察官のイラストと、
「通報は110番へ」という文字が刷られているのだそうです。

ちなみにジョーカーは、
2009年に殺人罪でA級指名手配を受けた尚少杰。
懸賞金は最高額の30万元(390万円)なのだそうです。

こんなことで指名手配犯が捕まるのか、
と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、
トランプが配布された後、
早速「スペードの7」が捕まりました。

この男、故意殺人罪で指名手配された後、
8年間にわたって逃亡を続けていましたが、
トランプ配布後、警察に犯人の情報が入り、
警察が全力を挙げて行方を追っていたところ、
もう逃げ切れないと悟ったのか、
先日、浙江省義烏の警察署に自首したのだそうです。

逃亡中の指名手配犯からすると、
自分の写真が出回り、
国中の誰もが自分の顔を知っている、
という状態ぐらいイヤなことはないはずです。
中国の人たちはみなさん、
賭けトランプが大好きですので、
無料で配られたトランプで遊んでいるうちに、
たくさんの人の頭の中に
54人の指名手配犯の顔が深く刻み込まれ、
それが結果的に逃亡犯に対する包囲網を
狭めていくことになったのでしょう。
広州市公安局のアイデア勝ちです。

日本でも指名手配犯の写真は、駅の構内や繁華街など
人通りの多いところに貼ってありますが、
注意して見る人はそれほど多くはないのではないかと思います。

日本では賭けトランプをする人は
中国ほど多くありませんので、
今はやりのオンラインゲームを利用するのが
有効なのではないかと思います。

警察庁がキャラクターを指名手配犯にした
オンラインゲームを開発して、
無料でダウンロードできるようにすれば、
検挙率は大幅にアップするのではないでしょうか。





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2012年6月15日(金)

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