第1506
かわいい子には旅をさせよ

老幼病残孕(らおようびんつぁんゆん)。

老人、乳幼児、病人、身体障害者、妊婦。
これはバスや地下鉄に乗ったときに、
席を譲ってあげるべき人たちです。
北京の人たちは、優先席であるかどうかに関わらず、
こうした人たちを見つけると積極的に席を譲ります。
これは非常に良いことであると思います。

しかし、私がいつも疑問に感じるのは「幼」です。
もちろん、自分で歩けない小さい子供を
だっこしているお母さんがいれば、
私もすぐに席を譲ります。
ただ、もう自分で歩ける5−6歳ぐらいの子供が、
譲られた座席で元気にはしゃいでいる姿を見ると
「はたして、この元気な子供に席を譲る必要があるのか?
席を譲ったサラリーマンの方が疲れてるんじゃないのか?」
と思ってしまいます。

日本と比べると中国の人たちは子供にとても甘いです。
それは親だけではなく、世間も子供に甘いような気がします。

レストランなどで子供が走り回って騒いでいても、
中国の親たちは知らん顔で
親同士のおしゃべりに興じていることが多いです。
そういう状態を見ると、私は「オヤジ魂」に火が着き、
一喝してやりたい衝動に駆られるのですが、
一緒にいる中国人の友人は「子供だから仕方ないよ」と
涼しい顔をしていたりします。

また、学校帰りの小学生の荷物を
親が持ってあげているのをよく見るのですが、
これもどうかと思います。
私は自分の娘たちに「自分の荷物は自分で持ちなさい」
というしつけをしてきましたので、
こうした光景を見ると
これは甘やかしすぎなのではないかと思ってしまいます。

さらに、先日はこんな親子を見ました。

3−4歳と思われる子供を、
買い物カートに乗せて母親が引いています。
思わず「赤ちゃんじゃないんだから、自分の足で歩きなさい!」
とどやしつけたくなってしまいました。

日本でも親がきちんと子供をしつけなかったり、
子供を親の代わりにしかってくれる人がいなくなったりしたため、
子供が甘やかされて育っていると言われていますが、
中国の子供たちはそれに輪をかけて
甘やかされているように思います。

子供は体力がないので疲れさせたくない、とか、
忍耐力がないのは仕方がないので、自由に騒がせてあげたい、
という中国の人たちの気持ちはわからないでもありません。

しかし、「かわいい子には旅をさせよ」、
子供が本当にかわいいと思ったら、
大人になってから困らないように、
小さいうちから苦労をさせたり、
きちんとしつけたりすることが、
本当の愛情なのではないでしょうか。

そして、きちんとしつけることが
ひいては、自分のことも自分でできない
甘ったれの大人を減らすという意味で、
中国の未来のためにもなるのではないか
と私は思いました。





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2012年5月30日(水)

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