第1479
いる外国人といらない外国人

北京市政府は今年から「外国人専門家1000人計画」の
申請受付をスタートさせました。

応募する外国人専門家には、
1.65歳以下
2.海外での博士号取得
3.中国での連続勤務経験3年以上

という厳しい条件が付けられているのですが、
1000人のうちの1人に選ばれれば、
「国家特聘専家(ぐぉじゃーたーぴんちょぁんじゃー、
国家が特別に招聘した専門家)」の称号が与えられ、
1人100万元(1,300万円)の補助金、
研究内容に応じて
300-500万元(3,900-6,500万円)の研究費、
などの厚い待遇を得ることができるのだそうです。

中国政府は2008年から、
海外に住む優秀な中国人や華僑・華人を対象に
厚待遇で中国に呼び戻す
「1000人計画」を始めていましたが、
今回の施策はその範囲を外国人にまで広げた、
という位置付けです。

北京市に限らず、今中国では
優秀な海外在住中国人、華僑・華人、外国人を厚待遇で
中国に招く動きが広がっています。
「人材立国」政策で世界中の英知を中国に集中させて、
国内産業を高度に高付加価値化し、
来るべき労働力人口の減少、高齢化社会の到来に
備えようとしているものと思われます。

一方で同じ外国人でも、
今後ますます大きくなることが期待されている
中国マーケットを目当てに来るような外国人には、
中国政府の態度がどんどん厳しくなっていることを感じます。

中国政府は昨年11月から、
中国で就業する外国人を対象に、
社会保険料の徴収を義務化する法律を制定しました。
年金、労災保険、失業保険など、
一時的に中国に駐在する外国人には
あまり利用価値がない保険に対して、
中国国内で得た収入の約4割の保険料を徴収する、
という厳しい内容で、
実質、外国人狙い撃ちの増税と言われています。

中国に利益を与えてくれる外国人には、
多額の補助金や研究費を与え、
一方で中国マーケットを狙ってくる外国人からは、
容赦のない増税でおカネを奪い取る。
意図が見え見えのえげつないやり方ではありますが、
そのぐらいしないと労働力人口の減少、
高齢化社会の到来という未曾有の国難を
乗り越えることはできないということなのでしょう。

中国より20-30年早く
今現在、既に深刻な労働力人口の減少、
高齢化社会の到来を経験している日本。
中国のような外国人政策に
真剣に取り組まなければならないのは、
むしろ日本の方なのではないか、と私は思います。





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2012年3月26日(月)

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