第1477回
労働力人口が減ると経済は成長しないのか?
中国は2015年前後に労働力人口の減少が始まるため、
その後は経済成長が大幅に鈍化すると言われています。
一方のインドは2050年頃まで、
アメリカに至っては2100年になっても
労働力人口が増加を続ける見込みであり、
中国とは対照的に今後も力強い経済成長を
続けていくことが予想されています。
この労働力人口とは
15-64歳の付加価値を生み出すと同時に、
そこから得た金銭で消費をする世代ですので、
総人口は増え続けたとしても、
この労働力人口が減少してしまうと、
経済成長が止まってしまうのだそうです。
では、労働力人口が減少に転じる3年後以降、
中国の経済成長は本当に止まってしまうのでしょうか?
私はそうは思いません。
なぜなら、中国にはまだまだ生み出す付加価値が小さく、
よって消費できる金額が少ない人たちが大量にいるからです。
この人たちが従来より高い付加価値を生み出す仕事に就き、
消費できる金額の増加が労働力人口の減少を補って余りあれば、
中国はまだまだ成長できるのではないでしょうか。
昨年の一人当たりの名目GDP(国内総生産)は、
アメリカが4万8000ドル、日本が4万6000ドルだったのに対し、
中国は両国の1/10強の5000ドルに過ぎませんでした。
しかし、今後5年間でアメリカや日本の一人当たりの名目GDPが
2倍になることは考えにくいですが、
中国はかなりの確率で2倍になることが予想されます。
現に中国は、現在の第12次5カ年計画(2011-2015年)期間中に、
国民所得を倍増させようとしています。
一人当たりのGDPが5年で2倍になれば、
極端な話、労働力人口が5年で半分に減っても、
現在の経済規模は維持できます。
もちろん、今後、
一人当たりのGDPの母数が大きくなることによって、
伸び率は鈍化していくことが予想されますが、
中国は2015年以降も、
貧乏人が金持ちになるパワーが労働力人口の減少を補って、
国全体の経済を成長させていくという状態が
当面続くのではないでしょうか。
逆に言えば、現在と同じ産業構造では、
中国は2015年以降、
労働力人口の減少によって経済成長が鈍化し、
ものすごい勢いで増え続ける高齢者を養うことが
できなくなってしまう、ということです。
一人っ子政策によって
労働力人口の減少と高齢者比率の増加という
深刻な問題を抱え込んでしまった中国にとって、
産業の高付加価値化は国の命運を握る、
死活的に重要な課題なのです。
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