第1476
一人っ子政策は善か?悪か?

来年の全人代で
次期国家主席に就任することが確実視されている、
中国の習近平国家副主席が、先月、訪米しましたが、
それに先立って、
アメリカのバイデン副大統領はフロリダでの講演会で
「中国は一人っ子政策を続けているため、
現在の経済成長レベルを維持できるわけがない」
という発言をしました。

副大統領は中国の労働力人口と高齢者人口の比率が、
一人っ子政策の継続により今後20年以内に逆転することを指摘。
そんな国が現在のような経済成長を続けて、
労働力人口が増え続けるアメリカを追い抜けるわけがない、
つまり世界におけるアメリカの覇権は
今後もゆるぎないものである、
ということを言いたかったのでしょう。

私はこのニュースを聞いて、呆れてしまいました。
いくら現政権の政策の正しさを
有権者にアピールするためとは言っても、
とても世界最大の超大国の副大統領の発言とは思えません。

この発言を聞いた中国が
「そう言われてみればそうだ」と変に納得し、
経済成長のために一人っ子政策を廃止して人口増加政策に転じ、
中国の人口が15億、20億、25億と増え続けて
世界の食糧が足りなくなり、
中国の有り余る外貨準備による買い占めで
アメリカを始め世界中で餓死者が続出したら、
バイデン副大統領は責任を取れるのでしょうか。

一人っ子政策は、
人権上の問題から世界中の非難を浴びていますが、
私個人的にはこの政策は中国の世界に対する
最大の貢献であると思っています。

労働力人口が減少する国は、早晩、
経済の低迷と高齢化問題に悩まされることになります。
1999年に既に労働力人口が減少に転じている日本は
世界のトップを切ってこの問題に直面していますが、
中国も2015年前後には労働力人口が
減少に転じると見られています。

一方、中国に次いで世界第2位の人口を擁するインドは、
2050年ぐらいまでは労働力人口が増加する見込みですし、
世界最大の経済大国・アメリカに至っては2100年になっても
労働力人口が増加し続けることが予想されています。
これはその国の経済成長の維持と
高齢化問題の先送りには大変有効ですが、
地球の限りある資源や食糧を考えた場合、
人口増加政策は国家のエゴ以外のなにものでもありません。

そんな中、中国は、
経済の低迷と高齢化問題を抱え込むことを承知の上で、
一人っ子政策を継続しています。

そんな中国に対して、
アメリカを始めとする諸外国は感謝はしこそすれ、
「一人っ子政策があるから経済成長は続かない」とか、
「一人っ子政策は人権侵害だ」などという
非難をする資格はないのではないか、
と私は思います。





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2012年3月19日(月)

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