第1474回
社会問題化する中国のぼったくり
最近、中国で料理店でのぼったくりが
社会問題となっています。
今年の春節期間中、海南島三亜市内の海鮮料理店で、
3品の料理を注文した客が、サラリーマンの月収に相当する
4000元(4万8,000円)を払わされる、
という事件が発生しました。
その後、この事件は納得がいかない被害者の友人が
微博(うぇいぼー、マイクロブログ)でぼったくりを告発、
それを見た全国の網民(わんみん、ネット市民)たちが騒ぎ出し、
最終的に海南省の姜斯憲副省長が緊急記者会見を開き、
関連業界に対する監督・管理が不十分だったことを
謝罪するまでに至りました。
また、同じ春節期間中、福建省アモイ市の海鮮料理店でも
7人連れの客が6品を注文したところ、
9550元(11万5,000円)を請求される、
という事件が発生しました。
一般的に中国の海鮮料理店では、店の中に大きないけすがあり、
そこで泳いでいる魚や龍蝦(ろんしゃー、ロブスター)などを
選んでオーダーをします。
このため、単価や重さを確認しないで適当に頼んでいくと、
結構な金額になってしまうことはよくあるのですが、
それでも1品1500元(1万8,000円)前後というのは
ぼったくり過ぎです。
また、古い街並みが残る上海市の水郷の街・朱家角では、
複数のレストランが英語版メニューの表示価格を、
中国語版の最大3倍に設定して、
外国人から高額な飲食費を徴収していたことが発覚しました。
上海の英字紙・シャンハイデイリーの取材に対し、
あるレストランのスタッフは
「外国人はカネを持っているから問題ない。
この街では当たり前のことだ」と答えたのだそうです。
私が中国に住み始めた1996年、
中国にはまだ悪名高い外国人料金というのが残っており、
ホテルに泊まるのも、列車に乗るのも、万里の長城に登るのも、
外国人は中国人の数倍のおカネを
払わなければなりませんでした。
ついこの間まで国家主導で
外国人からのぼったくりをしていたわけですから、
多くの中国の人たちが
「金持ちの外国人からはぼったくっていいんだ」
という意識を持ち続けるのも仕方がないのかもしれません。
しかし、今や中国は世界第2位の経済大国。
金持ちの数も諸外国よりずっと多くなったのですから、
そろそろ外国人からぼったくるのは
止めにして頂きたいものです。
上記のぼったくりのお店は、
全て営業停止の処分を受けました。
しかし一方で、三亜とアモイの客は
最初に値段を確認してからオーダーすれば、
ぼったくられることもなかったはずですし、
朱家角の外国人観光客も値段が高いと思ったら
オーダーしないで店を出るという選択肢もあったはずです。
もちろんぼったくる店側が悪いのは当たり前なのですが、
客側には100%落ち度がなかったか、と訊かれれば、
そうとは言い切れない部分もあるのではないでしょうか。
中国でぼったくられないためには、
オーダーする前に必ず値段を確認して、
その値段を払うだけの価値が無いと判断したら、
オーダーしないで店を出る勇気を持つ必要があるのです。
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