第1472回
中国で流行する子どもの「指紋判定」

今、山西省の省都・太原市の幼稚園では、
「指紋判定」が大流行しているのだそうです。

「指紋判定」とは、指に墨を付け、
紙に押し当てて指紋を取ったあと、
パソコンでスキャンしてその指紋を分析することによって、
その人の知能や先天的な素質が分かる、というものです。

費用は1回1200元(1万4,000円)と高額なのですが、
政治家なのか、科学者なのか、はたまた芸術家なのか、
わが子の適性を知った上で、
幼いころから最も適した道を歩かせることができる、
ということで、大人気なのだそうです。

確かに指紋は1人1人全て違うものですが、
はたしてそれでその人の知能や素質まで分かるものなのか?

中国の医学関係者はこのブームに対し
「手のひらや脳などの生理的特徴は遺伝子が決定しているが、
双方に関連性があるかどうかは不明であり、
指紋だけで大脳の状態や知能を測定するのは困難である」
として、「指紋判定」に懐疑的な見解を示しています。
また、東洋医学の手のツボに関する専門家も
「指紋に対する誇大解釈だ」として、
その信憑性を否定しています。

この「指紋判定」、どうも科学的根拠に乏しい、
手相見の延長線上にある
「当たるも八卦当たらぬも八卦」のサービスのようです。
しかし、それでも
「たった1人のわが子に、輝かしい未来を与えてやりたい」
と強烈に願う中国の親たちは、
心のどこかで「疑わしい」と思いつつも、
藁にもすがる思いでこうしたサービスに
殺到してしまうのでしょう。

しかし、この「わが子の知能や素質を判定したい」という
中国の親たちの強烈な願望を満たすなら、
わざわざ指紋などに頼らなくても、
科学的根拠に基づいた
「遺伝子検査」というサービスがあります。
これは綿棒で口の中の粘膜を採取して検査機関に送ると、
検査機関が遺伝子を分析して、
その人の知能や素質を判定してくれる、というサービスです。

中国には「上海生物芯片有限公司
(上海バイオチップコーポレーション)」という
「遺伝子検査」をしてくれる国有企業があるそうです。
日本でもテレビ番組で報道されてから、
同社の日本代理店が急増し、
今では、日本の検索サイトで「遺伝子検査」で検索すると、
たくさんの会社が出てくるようになりました。

検査の料金は5000元(6万円)前後と高額ですが、
わが子の将来がかかっている検査ですから、
中国の親たちは喜んで出すのではないでしょうか。

科学的根拠に乏しい「指紋判定」が
これだけ流行しているということは、
この「遺伝子検査」サービス、
中国の親たちに対してきちんと宣伝をすれば、
「指紋判定」をはるかに上回る
大流行になるのではないかと思います。





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2012年3月9日(金)

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