第1471回
エコノミスト25人が予想する今年の中国経済
先日、中国の経済紙・経済観察報が
中国国内のエコノミスト25人を対象に、
今年の中国経済に対するアンケートを行いました。
その結果によれば、今年の中国の経済成長率は
84%に当たる21人が8−9%と予想しました。
一方、消費者物価指数(CPI)の年間上昇率は
半数以上の14人が3−4%と予想しました。
中国のエコノミストのみなさんが予想する、
経済成長率8%台、CPI上昇率3%台という数字からは、
中国政府は極端な経済成長の落ち込みを防ぎながら、
インフレを沈静化させる、
いわゆるソフトランディングに成功する、
と見ていることがわかります。
そして、その中国政府の経済政策ですが、
預金準備率の引き下げは
64%に当たる16人が「3回以上」と予想しています。
昨年11月末、
それまで金融引き締め一本槍だった中国人民銀行は、
国内景気の冷え込みや、
中小企業の資金繰りの悪化を受けて、
3年ぶりとなる預金準備率の引き下げを行いました。
引き下げ幅は0.5ポイント。
これにより、21.5%まで上がっていた預金準備率は
21.0%に下がりました。
今年に入ってからは、先月、
更に0.5ポイントの引き下げが行われましたので、
多くのエコノミストの予想するように、
今年、この調子であと2回以上の
引き下げが行われるとすれば、
今年年末の預金準備率は19.5%以下となり、
CPIが5%台前半で上昇中だった、
2011年2月の水準まで戻ることになります。
ただ、利下げの可能性についてはエコノミスト25人中、
半数以上の13人が「今年はない」と予想しました。
既に高すぎる預金準備率の引き下げだけで、
景気の下支えは十分に可能であるのと同時に、
1年ものの定期預金の金利が年利3.5%とCPI上昇率を下回る、
つまり、定期預金におカネを預けていても
インフレのせいで目減りしてしまう、
という現在の状況が解消しない限り、
中国政府は利下げをできない、と見ているのでしょう。
そして、「今年の世界経済のリスクは?」という質問には、
64%に当たる16人が「欧州債務危機」を挙げました。
中国の国内総生産(GDP)に占める
輸出の割合は25%と日本の約2倍。
中でも欧州は中国最大の輸出先ですので、
現在の景気の減速も、欧州向けの輸出減少が
1つの大きな原因と言われています。
欧州の経済がクラッシュすれば、
中国経済も無傷ではいられないのです。
一方、中国のGDPに占める消費の割合は35%と、
米国の70%、日本の60%と比べると、
まだまだ低い水準に止まっています。
今後、中国経済は経済成長のエンジンを
従来の輸出や投資から消費にシフトして、
外国の不景気に影響されない筋肉質な経済構造に
自らを鍛え上げていかなければならないのです。
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