第1465回
信用ならない中国の信号
中国の交差点では、歩行者用の信号が青でも
車が四方八方から突っ込んできますので、
歩行者は日本のように安心して
横断歩道を渡ることができません。
当社のオフィスがある幸福大厦から一番近い
東三環路・三元東橋の交差点も、
渡り切るのにはかなりの勇気が必要な交差点の1つです。
まず、中国では日本と違って
車は赤信号でも右折できますので、
右折の車が青信号で渡る歩行者にどんどん突っ込んできます。
また、信号のシステムがおかしいので、
左折する車も青信号で渡る歩行者に突っ込んできます。
ここの信号は赤信号のときに隙を見て
注意して渡るのが一番安全なのです。
こんな調子だと、日本人である私でさえ、
信号を守るのがバカバカしくなってきます。
中国の交通教育では、
赤信号ならば車が来ない道路でも
きちんと止まって待っている日本人歩行者の映像を流して、
「みんなも見習わなければいけないよ」と説明するらしいですが、
日本人が信号を守るのは、信号さえ守っていれば
ボーッとして歩いていても車に轢かれることはない、
信号を守ることは自分の身を守ることだ、
という意識があることも
大きな理由の1つなのではないかと思います。
しかし、信用ならない中国の信号システムの下では、
赤信号で渡っても、青信号で渡っても、
車が突っ込んでこないか確認をして、
緊張しながら渡らなければいけないことに変わりはありません。
人は自分の身を守ってもくれないものに、
いくら「オレの言うことを聞け!」と命令されても、
言うことを聞く気にはなれないのです。
この信号と同じように信用ならないのが、中国の法律です。
中国の法律の専門家の方に話を聞くと、
中国の法律は不必要に厳しく規制されていたり、
逆に、あいまいな表現でどうとでも解釈できるような条文が
少なくないようです。
このため、法律を厳格に守っていては世の中が回らないので、
現場の役人がケースバイケースで認可をするか判断したり、
都合の良い解釈をしたりして、
法律と現実を近づけて世の中を回していく、
という部分もあるようです。
そして、 その「現場の役人が
法律をどうとでも解釈できる」という点が、
役人の腐敗を生む温床となっています。
役人を怒らせれば罰金の額が
法律に定められた上限まで跳ね上がり、
人脈を使って役人と交渉すれば、
罰金を値切ることができる国が、
はたして法治国家と言えるのでしょうか。
こんな状態ですので、中国の人たちは法律を守るよりも、
イザというときに頼りになる役人との
関係(ぐぁんし)作りの方に力が入ってしまうのです。
中国の人たちの遵法意識の低さは、
本人たちの考え方にも問題はあるとは思いますが、
信号同様、国民を守ってくれない法律自体にも
問題があるのではないか、と私は思います。
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