第1456回
民主主義初心者国家・中国から学べること

今の中国は中国共産党による一党独裁国家です。

このため、「独裁」を絶対悪と考える
アメリカを始めとする伝統的民主主義国家は、
中国の政治体制を時代遅れ、過去の遺物とみなし、
早く自分たちと全く同じような、
民主主義国家に「進化」するよう促しています。

しかし、私はそんな中国からも
学べることはあると思っています。
なぜなら、中国は
「民は之に由らしむべし。知らしむべからず」
と子がのたまった2500年前から現在に至るまで、
一度も民主主義を経験したことがなく、
何の伝統もしがらみもない中で、
これから新しい独自の民主主義の形を
作っていこうとしているからです。

今、中国は
「ネット民主主義国家」になりつつあります。

インターネットの普及により、
今までバラバラだった国民に横のつながりができ、
民意がすぐに大きな風船のように
膨れ上がるようになりました。
さすがの中国共産党も
5億人の網民(わんみん、ネット市民)の間で膨れ上がった
民意を無視することはできず、
非公式なルートではありますが、
ここ数年、こうしたネットの民意が
国政に反映されるようになってきました。

そして、中国共産党は今、これまでの
「網民が騒いでいるから、政策を変える」
という消極的な態度を改め、
「新しい政策に対する意見や提言を、網民から集める」
という積極的にネットを利用する姿勢を取り始めています。
なぜなら、いつまでも網民に押されっぱなしでは、
中国共産党の存在意義を
問われることにもなりかねないからです。

この状態をもう一歩進めれば、
「新しい政策を、ネットを利用した国民投票で決める」
という世界にも例のない「ネット民主主義国家」を
誕生させることも可能なのではないかと私は思っています。

「ネット民主主義国家」では国民は
各政策に対して是々非々で投票することができますし、
数年に一度しか選挙がない伝統的な民主主義国家より、
ずっと迅速に民意を国政に反映させることができます。
また、国会議員もほとんど必要なくなりますので、
政治の運営コストは劇的に下がりますし、
政治家同士の派閥や駆け引きなどで政治が停滞することも、
無くなると思われます。

そもそも、日本の議会には
なぜ700人以上もの国会議員が必要だったのかというと、
まだインターネットがなかった時代に、
各地方で選出された議員が地元に帰って民意を吸い上げ、
東京に戻ってその民意を国会で発表して、
国政に反映させるためだったのではないかと思います。
しかし、これだけインターネットの
技術が発達した現代において、
民主主義だけが100年以上も昔から変わらない
アナログなシステムを保ち続けている、
というのもおかしな話ではないでしょうか。

伝統的民主主義国家であり、
今の制度が「当たり前」と考えている日本が、
何もかもが初めての民主主義初心者国家・中国から
学べることもあるのではないでしょうか。





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2012年2月1日(水)

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