第1389回
魑魅魍魎の餌食となる日本企業

当社は中国最大の運送会社・中国外運(シノトランス)の
北京子会社である北京外運と合弁会社を経営していますが、
中国の国有企業と合弁会社を運営するのは、
正直なところ大変疲れます。

全ての経営判断を党内力学という基準で行う人、
自分の権限を利用して会社を私物化しようとする人、
なるべく働かないで給料だけもらおうとする人、などなど。
こうした魑魅魍魎から会社を守るのは本当に大変です。

私が中国で働き始めた15年前、
日本企業の中国進出形態の主流は
中国企業と合弁会社を作ることでした。
それは、日本企業単独では地元政府との折衝や
許認可の面で不利になるため、
中国企業と組んで中国側のことは
中国企業にやってもらおうとしたのです。

しかし、多くの合弁会社は
中国企業から派遣された魑魅魍魎に食いものにされ、
ほうほうの体で日本に逃げ帰った日本企業も
少なくありませんでした。
このため、その後、日本企業は
100%自社の出資で会社を設立する
独資の形態で進出するケースが多くなりました。

ただ今後、中国が「世界の工場」から
「世界のマーケット」に変貌を遂げるに従って、
日本企業の中国進出も生産型よりも
販売型が増えていくことが予想されます。
となると、一から販路を開拓するよりも、
既に販路を持っている中国企業と
合弁を組んで進出した方が有利だ、
と考える会社が多くなり、
再び魑魅魍魎の餌食となる日本企業が
増えることが懸念されます。

魑魅魍魎に会社を食いものにされるのは、
合弁会社を作って資本金を出資するからです。
販売委託のような形で中国企業の販路を利用できれば、
食いものにされることもありません。

もちろん、まともな中国企業もたくさんあると思います。
しかし、当社のように、合弁相手が
北京で数社にしか与えられていない
海外引越荷物の輸出入認可を持っているため、
仕方なく合弁を組んでいるようなケースを除いては、
これから中国に進出する日本企業のみなさんには、
中国企業、特に国有企業とはなるべく合弁を組むな、
ということを強く申し上げたいと思います。





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2011年8月31日(水)

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