第1358回
世界的人材争奪戦に備える中国

世界は今、
資本をたくさん持っている企業や国が勝つ「資本主義」から、
優秀な人材をたくさん持っている企業や国が勝つ「人本主義」へ
変わりつつあると私は認識しています。

なぜなら、日本を筆頭に
これから多くの国では高齢化により高齢者の比率が増え、
より少ない労働力人口でこれらの高齢者を養っていくためには、
産業を高度化して1人当たりのGDP(国内総生産)を
引き上げる必要があるため、
資本よりもより高い付加価値を生み出せる人材の方が
大切になっていくと思われるからです。

これは一人っ子政策という強烈な人口抑制政策を実施中で、
今後、労働力人口に占める一人っ子世代の比率が高まるにつれて、
急激な高齢化が進むことが予測されている中国も
例外ではありません。
中国政府は来るべき世界的人材争奪戦に備え、
中国国内のみならず外国からも
優秀な人材を招聘しようとしています。

先日、広東省深セン市は、
今後5年間で海外の優秀な人材5,000人を
招聘する計画を発表しました。

対象となるのは金融や新エネルギーなどの分野の人材で、
毎年3-5億元(37.5-62.5億円)の予算を投入、
招聘された人材には
最高150万元(1,875万円)の奨励金支給のほか、
医療保険や子供の就学、配偶者の就業などで優遇措置が適用され、
永久居留権(永住権)を与える制度の導入も
検討されているのだそうです。

深セン市政府は同市の前海地区を「人材特区」として、
海外から優秀な人材を集めるために様々な規制を撤廃し、
同地区の金融、新エネルギーなど高付加価値産業の国際競争力を
飛躍的に高めようとしているようです。

高齢化という点では、中国よりも更に深刻な状況にある日本。

世界の「人本主義」化の流れの中で、
1人で何人もの高齢者を養っていける
高い付加価値を生み出せる人材を大量に確保するためには、
日本国内で優秀な人材を育てることも大切ですが、
海外からも優秀な頭脳に来てもらえる
魅力的な環境を国を挙げて整え、
「人材立国」を目指す必要があるのではないかと思います。





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2011年6月20日(月)

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