第1293回
半年で45%の賃上げ!
今年の1月1日から、北京市の最低賃金が
従来の960元(12,000円)から200元(2,500円)、
率にして約20%上がって1160元(14,500円)となりました。
北京市の最低賃金は昨年の7月1日にも
800元(10,000円)から960元へと
20%引き上げられていますので、
わずか半年の間に45%も引き上げられたことになります。
これは昨年からのインフレによる物価高で、
最低賃金では生活できなくなってしまう人が
出ることを防ぐための政策です。
消費者物価指数(CPI)の上昇率は
上がったと言っても前年同月比5%程度ですが、
生鮮野菜など一部の食品は1年前より
20%も30%も上がっているようですので、
やはりこれぐらい引き上げておかないと
生活が苦しい人が出てきてしまうのでしょう。
たまらないのは最低賃金でたくさんの人を雇っている工場など、
低付加価値の労働集約型産業の会社です。
半年で人件費が45%も上がったら、
どう考えてもやっていけません。
今後北京市では、人件費の上昇に耐え切れなくなった工場などの
廃業が相次ぐことが予想されます。
当社も引越作業員の初任給は最低賃金でお願いしていますので、
今回の北京市の法定最低賃金引き上げによる
人件費の上昇は避けられません。
しかし、当社は該当者がそれほど多くないこと、
海外引越業は物流業界の中では
比較的高付加価値であることなどから、
業績に大きな影響を与えることはなさそうです。
今回、北京市だけではなく、
重慶市や陝西省西安市なども
最低賃金の引き上げを行ったようです。
今後、インフレによる物価高が進む中で、
中国全土で最低賃金を引き上げる動きが加速、
それに従い、
今まで人件費の安さだけを頼りに成り立ってきた
低付加価値の労働集約型産業は
どんどん淘汰されていくことが予想されます。
最低賃金の引き上げは、
物価上昇局面での低所得者の救済、
という意味合いが強いのですが、
一方で中国政府としては、
国内の産業構造を低付加価値から高付加価値に転換する、
絶好のチャンスと捉えているのではないでしょうか。
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