第1282回
犯人逮捕なう
ユーザーが140文字以内の
短い「つぶやき」をネット上で投稿しあう
コミュニケーションサービス・Twitter。
日本のTwitter利用者は昨年比約20倍と急激に増加し、
「つぶやき」の中でよく使われる
「いま〜している」という意味の「〜なう」が
今年の流行語大賞のトップ10にランクインするなど、
社会的な現象となりつつあります。
一方の中国。
政府を批判するような「つぶやき」が大量に飛び交って、
反政府運動に発展したりしては大変ですので、
中国政府は米国資本のTwitterは中国市場に参入させず、
その代わりに都合の悪い「つぶやき」をいつでも削除できる
中国資本のマイクロブログの使用を許可しています。
このマイクロブログ、
「微型(うぇいしん、マイクロ)」の
「博客(ぼーかー、ブログ)」ですので、
中国語では「微博(うぇいぼー)」と呼ばれています。
一党独裁国家ながら、
政府が網民(わんみん、ネット市民)の意見を無視できない
ネット民主主義国家になりつつある中国。
それは「微博」に関しても同様で、
中国共産党は今年、6,500万人いると言われている
「微博」利用者を味方に付けるべく、
人民日報が運営する「人民微博」に
胡錦濤国家主席のアカウントを作りました。
しかし、作ったと同時に1万人以上のフォロワーが殺到、
サーバーがパンクしてしまうため、
今ではアカウントは削除されてしまっているようです。
胡錦濤国家主席自らが「中日首脳会談なう」とか
「5中全会なう」などとつぶやけば、
網民の心をガシッとわし掴みにできると思うのですが残念です。
1つ間違えば反政府運動の発端ともなりかねない
両刃の剣である「微博」ですが、
中国政府の中にはこうした網民のパワーを、
積極的に利用していこうという動きもあるようです。
先日、福建省廈門(アモイ)市の公安局は、
同局の公式「微博」で女児傷害致死事件に関する
懸賞金付きの情報提供を呼びかけました。
これに対し、「微博」利用者から
2時間で100件を超える情報が集まり、
それらの情報のお陰もあって、
約2週間後に犯人逮捕にこぎつけました。
中国ではネット上で知らない網民同士が協力して、
役人の不正を暴いたり、個人情報を調べたりする
「人肉捜索(れんろうそうそう)」が流行っており、
プライバシー保護の観点からこうした動きを
疑問視する声も上がっていますが、
今回のような犯罪の犯人逮捕のために使えば、
公安局のプロの刑事さんたちよりも
更に強力な捜査力が望めそうです。
日本の警察も中国の公安局のように
Twitterで利用者に犯人についての情報提供をお願いして、
その情報提供のおかげで犯人逮捕に至った暁には、
逮捕の現場から「犯人逮捕なう」とつぶやくぐらいの
頭の柔らかさが必要なのではないでしょうか。
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