第1283回
中国で一番住みやすい都市は北京?

先日、中国の調査会社・零点研究諮詢集団が発表した
「住みやすい中国の都市ランキング」で
北京が「治安が良い」などの理由で、
堂々の1位に選ばれました。

ちなみに2位は
「過ごしやすい気候」などの理由で浙江省の杭州、
3位は「余暇を過ごす環境の豊かさ」などの理由で
四川省の成都でした。

同集団のアンケート結果によれば、
最も住みやすい都市を北京と回答した人のうち、
「治安の良さ」を理由に挙げた人が31.8%、
「全国から金や物、人などの資源が集まり、
総合的な条件が良い」とした人が18.2%、
「経済が発展していて、
人々の生活が豊かで安定している」
と答えた人が10.2%いました。

北京には「ストレスが多い」、
「環境が悪い」、「交通渋滞が激しい」などの
様々なマイナス要因があるのですが、
それでも北京が住みやすい都市ナンバーワンに選ばれたのは、
人々がそうしたマイナス要因よりも、
治安が良く、安全な生活を送ることができることを
住みやすさを判断する際の
最も重要な要因として考えていることを示している、
と同集団の研究員は分析しています。

私は北京に住んでもうすぐ15年。
夏暑く、冬寒く、春は砂嵐が吹き荒れ、
内陸にあるため年中乾燥している北京が、
中国で一番住みやすい都市であると思ったことは
これまで一度もありませんでした。
しかし、「気候の良い」杭州を押さえて、
「治安の良い」北京がナンバーワンになったということは、
同集団の研究員も指摘しているように、
多くの人にとっては、気候より治安の方が重要なのでしょう。

そう改めて言われてみれば、
確かに北京の治安は良いです。

北京は中国政府のお膝元、ということもあり、
警察の治安維持に対する力の入れようは尋常ではなく、
街中に監視カメラが設置されていたり、
眼つきの鋭さで一目見て私服警官であると分かる人たちが
街中の至る所に配置されていたりします。
これでは犯罪率も下がるわけです。

日本人の私から見るとこうした状況は、
昔のソ連のような警察国家を髣髴とさせ、
ものすごく怖い感じがするのですが、
中国人の友人に訊くと
「そのお陰で治安が良くなるのであれば、
その方が良い」という感覚らしく、
それが今回のアンケートの結果にも出ているようです。

彼らにとっては
「自由で治安が悪い国」と
「不自由で治安が良い国」があったら、
「不自由で治安が良い国」の方が
住みやすい国なのです。

「自由で治安が良い国」である日本から来た私は、
北京の不自由な部分にばかり目が行ってしまうのですが、
今後は北京の治安の良さのありがたみを噛みしめながら、
不自由さや気候の厳しさに耐えていこうと思います。


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2010年12月29日(水)

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