第1143回
急速に伸びる中国のシルバービジネス

今後、急速に国民の高齢化が進む中国。

15億人の人口のうち、60歳以上の人が30%になれば、
国家は4億5000万人もの高齢者を
養っていかなければらなないわけですから、
中国政府は危機感を強めています。

その一方で、急増する高齢者を新たなマーケットとして
注目する動きも活発化しているようです。

先日、中国紙・第一財経日報は、
「シルバービジネスは今後、数兆元(数十兆円)規模の
ドル箱市場に成長するであろう」という記事を掲載しました。
同紙によれば、現時点で約550万床の不足が見込まれる
養老施設などのベッド整備を始め、
高齢者向けデパートやレストラン、リハビリ施設、
金融サービスなどの分野で需要の拡大が見込まれるそうです。

そして、高齢者が受け取る年金総額は
今年2010年、8383億元(10.9兆円)が見込まれ、
シルバービジネスは既に
1兆2000億元(15.6兆円)の需要があるにも関わらず、
現在の高齢者向けのモノやサービスの提供は
その1/10以下の1000億元(1.3兆円)足らずであり、
完全に供給不足の状態であるそうです。

更に、高齢者が受け取る年金総額は
2020年には2兆8145億元(36.6兆円)、
2030年には7兆3219億元(95.2兆円)まで
膨らむことが予想されており、
中国のシルバービジネスは今後、
巨大なビジネスとなる潜在力を秘めている、とのことです。

中国の昨年の国家予算が
7兆6000億元(98.8兆円)と言われている中で、
いくら今後毎年8%ぐらいずつ経済成長していくといっても、
20年後に現在の国家予算全体と同規模の年金を
中国政府が高齢者に払えるようになるとは思えないのですが、
今の年金制度と人口構成から試算すると、
そういう結果になるようです。

中国政府が約束通り高齢者に年金を支払うとすれば、
これは中国より25年も先に高齢化社会を迎える日本にとっては、
大きなビジネスチャンスになります。
一足先に高齢化した日本国内の激しい競争で鍛えられた
高齢者向けのモノやサービスを中国に持ってくれば、
日本企業はかなりのシェアを
取ることができるのではないでしょうか。

中国企業が高度経済成長で稼いだおカネを中国政府に納税し、
中国政府はその税金を中国の高齢者に年金として支給し、
中国の高齢者は日本企業の優れた
シルバービジネスを利用して日本企業におカネを払い、
日本企業はその儲けたおカネを日本政府に納税し、
日本政府はその税金で日本の高齢者を養う。

そんな一連のおカネの流れが実現できれば、
中国の高齢者も日本の高齢者もハッピーな老後を
過ごすことができるようになるのではないでしょうか。


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2010年2月5日(金)

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