第1069回
注目される中国内陸部マーケット
今、中国で日本企業がターゲットとするマーケットが、
北京や上海など沿海部の大都市から
内陸部に移ってきているようです。
中国内陸部は沿海部に比べると、
経済を輸出に依存する度合いが少なく、
今回の金融危機による世界的な不景気の影響も
あまり受けませんでした。
そこに更に、中国政府が将来の計画を前倒しする形で
4兆元(56兆円)の経済対策を内陸部に集中させたため、
内陸部は青息吐息の沿海部を尻目に
10%を超える成長を続けています。
中国内陸部の経済規模は
まだまだ沿海部の半分程度でしかありませんが、
沿海部はその購買力が大きい分だけ競争が激化、
以前のように何しろ新製品を出せば飛ぶように売れていく、
という状況ではなくなってきています。
このため、日本企業各社の目が、
今まで誰も注目してこなかった
空白地帯である内陸部に向いている、
ということもあるようです。
先日ご紹介した日産の中国合弁会社・東風汽車は、
現在350店ある中国国内の販売店を、
年内に更に30店増やす方針ですが、
増やすのは沿海部の大都市ではなく、
乗用車の需要が急速に伸びている
中規模都市が中心になるとのことです。
また、乳酸菌飲料のヤクルトは、
内陸部での販売強化の第一歩として
湖北省の省都・武漢市を選びました。
武漢市は華中地域最大の人口を擁し、
日本やヨーロッパの自動車関連企業も拠点を構えており
経済活動が活発なことから需要があると判断した模様です。
同社は今後、武漢市を足がかりに、
近郊都市にもマーケットの拡大を図る方針だそうです。
更に、内陸の都市部を飛び越えて、
一気に中国の農村部への浸透を
図っている日本企業もあります。
中国では農村に家電製品を普及させる目的で
今年から農民が家電製品を買った場合、
その費用の13%を政府が負担する
「家電下郷(じゃーでぃえんしゃーしゃん)」政策を
中国全土で展開しています。
当初、補助対象となる製品価格の上限は
2000元(28,000円)だったのですが、
最近、上限額が3500元(49,000円)に
引き上げになったことから、
家電大手のシャープは上限ぎりぎりの
3499元の液晶テレビを発売し、
自社ブランドの農村部への浸透を図っているそうです。
いよいよそのターゲットを内陸部に移す日本企業。
今まで内陸部のマーケットを独占していた中国企業を押し退けて、
シェアを広げることはできるのか。
今後の日本企業の中国内陸部での動向に注目です。
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