第1058回
人の命もカネ次第
拝金主義国家・中国で元気な赤ちゃんを産みたかったら、
お医者さんへの付け届けをケチってはいけません。
先日、中国最大の育児サイト「宝宝樹(ばおばおしゅー)」が
育児中の母親らを対象に実施したアンケート調査によれば、
回答者の1/4が出産に際し担当医師らに
平均619元(8,700円)の謝礼を渡した、という結果がでました。
金額は200-300元(2,800-4,200円)が30%と一番多いのですが、
800-1000元(11,200-14,000円)の謝礼を渡した、
という人も26%いたそうです。
中国では大卒者の初任給が2000元(28,000円)前後ですから、
800-1000元というのはかなりの金額です。
中国では医療関係者が患者から謝礼を受け取ることは
法律で禁止されていますが、
元気な赤ちゃんを産むために
担当医師の心証を良くしておきたいとの理由から、
多くの人が謝礼を渡しており、
担当医師も謝礼を受け取っているようです。
こうしたことは出産に限らず、病気をした時、
特に手術をする時には常態的に行われているようです。
このため、中国のお医者さんはどんな病気でも
すぐに手術に持ち込もうとする傾向があるようです。
先日も私の中国人の友人が膝を痛めて病院に行ったのですが、
しつこく手術を勧められてまいった、と言っていました。
また、中国のお医者さんは、
処方した薬の金額によって歩合給をもらえるようで、
必要以上に大量の薬を処方する傾向があります。
私も風邪をひいてある病院に行った時に、
「ただの風邪なのになんでこんなにたくさん...」
と思うぐらい大量の薬を処方された経験があります。
中国でお医者さんが拝金主義に陥り、
「人の命もカネ次第」という状態になっている背景には、
お医者さんの給料が日本と違って
非常に安いことにあるようです。
中国では個人の開業医というのは基本的にあり得ず、
ほとんどのお医者さんは国有の病院で働く国家公務員です。
このため、お医者さんの仕事は激務であるにも関わらず、
月給は国家公務員の規定に従い
3000-4000元(42,000-56,000円)程度なのだそうです。
そんな中で、患者からの付け届けや薬の歩合給は、
お医者さんにとって非常に大きな収入源となっているのです。
私はこんな「人の命もカネ次第」の国で
手術を受けたくはありませんので、
健康には細心の注意を払っていこうと思います。
手術台の上で麻酔を打たれる前に執刀医から
「ところで患者さん、この手術が成功したら
謝礼はいくら頂けるんでしょうか?」
なんて訊かれたくないですから...。
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