第1056回
就職氷河期に流行るビジネスとは?

大学卒業者の増加と
金融危機による景気の減速のダブルパンチで、
超の付く就職氷河期を迎えている中国の就職戦線。
2009年の卒業式シーズンを迎え、
まだ就職先が決まっていない大卒者は
就職活動に更に力が入るのではないでしょうか。

昨年2008年に中国の大学を卒業した人は560万人。
内、まだ就職が決まっていない人は74万人いるそうです。
ここに今年2009年に卒業する610万人を加えると684万人。

一方の就職先は、昨年卒業して
就職できた人の数から考えると486万人分。
これだけでも既に約200万人が職にあぶれることになりますが、
今年は金融危機による景気の減速で
採用を控える企業が増えることが予想されますので、
就職できない大卒者の数はこれよりも
もっと大きくなることが予想されます。

そんな中、就職活動で忙しく、
卒業論文を書いている時間がない人のために、
「卒論代筆」というニュービジネスが生まれました。

このニュービジネス、
中国最大手のネットショッピングサイト
「陶宝網(たおばおわん)」に
10数店舗が出品しているのですが、
「卒業論文の代筆承ります。
学部卒論なら1000字当たり80元(1,120円)。
指導教授のOKが出なければ無料で手直しも致します」
というような内容のようです。

もちろん、大学側に代筆の事実が知れれば
卒業証書と学位は没収されてしまい、
就職活動どころではなくなってしまうのですが、
ある店は昨年10月以降39編の卒論を販売した、
と言いますから、危ない橋を渡ってでも
就職活動を優先する学生も少なくないようです。

また、この就職難で整形手術業界も潤っているようです。

日本でも「人は見た目が9割」という本が
ベストセラーになりましたが、
中国でもそう考える多くの大学生たちが
面接を少しでも有利に進めるために、
整形手術をしているようです。

上海には集団で受診すれば団体割引で
費用が3割程度安くなる病院もあり、
希望者がインターネットで仲間を募って
一緒に病院を訪れるケースもあるそうです。
そうした病院の1つである上海時光整形医院には
「二重まぶたにしてほしい」とか、
「顔を細くしてほしい」という大学生が多く集まり、
今年5月以降の手術数は
前年同期比50%増になっているとのことです。

卒論代筆に整形手術と
就職するためには手段を選ばない中国の大学生ですが、
これは逆に言えば大学生がそこまで追い詰められるぐらい、
中国の就職戦線が厳しいということを
示しているのではないでしょうか。


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2009年7月17日(金)

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