第992回
北京のファストフードの接客態度

今後、中国でもサービス業が
産業の主役になっていくものと思われますが、
お客さんのほとんどを占める
「一見さん」に対するサービスは、
お世辞にも良いとは言えないのが現状です。

中国のサービス業のサービスレベルを上げるためには、
「自己人・外人の法則」から考えると、
「いかに「一見さん」に対しても「自己人」、
即ち自分の親兄弟に接するような態度で
サービスを提供できるように従業員を教育できるか」
にかかっているのではないかと思います。

客単価の高い高級レストランは、
素質(すーじ、品格)の高い従業員を雇って、
しっかりとした教育を施すことができますが、
客単価の低いファストフードなどでは
そんなに高いお給料を提示することはできず、
人材もそれなりの人しか採れませんので、
日本のように「スマイル0円」というわけにはいきません。

そんなファストフード業界の中で
店員の教育が行き届いていると思わせるのは、
やはり麦当労(まいだんらお、マクドナルド)です。
北京の麦当労の店員は日本のマクドナルドと違って
おばさんばかりなのですが、
こちらが「一見さん」であるにも関わらず、
結構フレンドリーに対応してくれます。

「生活には困っていないけれど、
家にいてもつまらないので働きに出たい」
こんな動機のため、
低賃金でも労働意欲が高い
近所の世話焼きおばさんのような人たちを
大量に動員できたことが麦当労の勝因なのではないか、
と私は勝手に分析しています。

一方で毎回「これはひどい」と思わせられるのは
「吉野家(じーいえじゃー)」です。

別に日本と同じ味の牛丼が食べられれば
それで良いわけですし、
「牛丼1杯15元(195円)の店でサービスなど求めるな」
と言われればその通りなのですが、
二コリともしない店員の家畜にエサをやるような態度には
いつも閉口させられます。

そのくせ、その同じ店員が同僚とは
満面の笑顔と1オクターブ高い声で
楽しそうに談笑しているのを見ると、
「おまえはサービス業の仕事をする資格なし!」
と思ってしまいます。
客には厳しく、同僚にはやさしいというその姿は、
昔の国営商店そのままです。

ま、その店員にしてみれば、
もう二度と会うこともない「一見さん」の私に
愛想を振りまくヒマがあったら、
毎日一緒に仕事をする同僚との
人間関係構築に精を出した方がよっぽど合理的、
ということなのでしょう。

北京の吉野家は
「中国人が自分で経営管理している有名ブランドです」
と自ら広告に謳っているように
中国資本(香港資本)のようですが、
吉野家の安部修仁社長には北京にお忍びで来て頂き、
「吉野家」の看板を掲げた店の店員が
どんな態度で接客をしているのか、
ぜひ見て頂きたいものだと思います。


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2009年2月18日(水)

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