第980回
始まった農民工の大量帰郷
中国で農民工(のんみんごん、出稼ぎ労働者)の
大量帰郷が始まっています。
世界的な金融危機による景気の減速で、
中国沿海部では工場や建設現場などでの
単純労働に対する需要が急減。
特に、昨年11月に中国の輸出が
7年ぶりに前年同月比でマイナスとなる中、
労働集約型低付加価値製品の輸出を
主な産業として発展してきた広東省では
企業の倒産や工場の閉鎖が続出。
リストラされて再就職先が見つからない
大量の農民工たちが故郷に帰り始めているのです。
中国政府のシンクタンクである
社会科学院の発表によれば、
既に出稼ぎ先から帰郷したのは
1億3000万人と言われる農民工の
3%に当たる400万人。
年に一度の帰郷の季節である
春節(ちゅんじえ、旧正月)を1月26日に控え、
この帰郷の流れは加速度的に
大きくなっていくことが予想されています。
雲南省では既に50万人以上の農民工が
帰郷しているようですが、
帰郷者の数が余りに多いため、
省政府は雇用対策だけでなく、
食料の確保にも頭を痛めているそうです。
また、1億人近い人口を擁する
河南省や四川省では状況は更に厳しく、
現地の当局は失業者増加による治安の悪化、
社会不安の防止策に追われているそうです。
社会科学院社会学所の陳光金副所長は、
中国全体の失業率は9.4%に上り、
中西部地域に限って言えば
失業率は10%を超えるとしています。
安価で無尽蔵に供給される労働力として
中国の高度経済成長を支えてきた農民工。
しかし、日本の「派遣切り」同様、
一旦景気が悪くなると真っ先に切られるのは、
やはり農民工のような単純労働者なのです。
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