第919回
中国の不動産市場に異変発生!
中国の不動産市場に異変が起きています。
中国の株式市場は昨年10月のピーク時から下落を続け、
今では株価は当時の半値以下になってしまっています。
一方の、中国不動産市場は一時のような
猛烈な値上がりはなくなりましたが、
それでも株式市場のような激しい下落はなく、
高止まりの状態が続いていました。
しかし、今、中国の経済専門家の間では
「不動産市場は第2の株式市場になる」
という見方が出てきています。
その兆候が最も顕著に現れているのは広東省の深センです。
深センは全国的な不動産価格の高騰を牽引し、
不動産価格が高くなりすぎていたということもあるのですが、
昨年10月に1u当たり17,350元(26万円)だった平均住宅価格は、
今年6月には11,159元(17万円)と3割以上も下落しました。
この深センの不動産価格については「上がり続けるかどうか」で、
北京大学の教授と経済評論家の意見が真っ向から対立し、
その戦いが中国のメディアや民衆の間で
ホットな話題となっていたのですが、
結局「上がり続ける」と主張していた
北京大学の教授が先日敗北宣言をし、
広東省の新聞に謝罪広告を出したことで
この戦いは幕引きとなりました。
一方の北京市の6月の住宅販売価格は前年同月比11.2%の上昇と、
深センのような状況にはなっていません。
しかし、前月比ではわずか0.1%の上昇と、
2005年以降で最低を記録しています。
昨年の北京は、昨年11月の
第793回 「今マンションを買わなくていつ買う!」
でもお話した通り、
「マンション価格と金利がこれ以上上がったら、
永遠に家を買えなくなってしまう」という焦りから、
一般庶民が我先にとマンションを買いに走っていました。
しかし、今の北京の人たちは
「もうちょっと待てば下がるかもしれない」と冷静に考え、
マンションを買い控える傾向が強くなっているため、
北京のマンション販売は低迷が続いているようです。
中国の人たちは昨年、初めてのバブルを経験し、
「株価も不動産価格も永遠に上がり続ける」
という幻想を抱きました。
しかし、その後、バブルがしぼんだことにより
「株価も不動産価格も下がることがある」
ということを学習しました。
中国には株や不動産のバブル縮小で
痛い目に遭った人がたくさんいると思われますが、
痛い目に遭いながらも学習し、投資家としては
着実に逞しく賢くなっているのではないかと思います。
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