第842回
日本の薬事行政と漢方薬

先日、日本の薬害肝炎訴訟が、
福田首相の政治決断により、
被害者を線引きせずに一律に救済することで
決着を見ました。

被害者の方々は何の落ち度もないのに、
知らないうちにウイルスに汚染された
血液製剤・フィブリノゲンを投与され
C型肝炎に感染したわけですから、
そのフィブリノゲンを認可した国が治療費を負担するのは
当然と言えば当然です。

今回の救済の対象となるのは、
訴訟の原告200人と
カルテのある被害者800人の合計1,000人で、
補償総額は200億円に上ると見られています。
しかし、カルテはないがフィブリノゲンにより
C型肝炎に感染したと見られる人は1万人、
B型も合わせたウイルス性肝炎の患者は
日本全国に350万人いると言われていますので、
350万人全員を今回と同じように救済するとなると
その補償総額は70兆円。
日本の国家予算の総額に
匹敵するような金額になってしまいます。

フィブリノゲンを認可した当時の厚生省の役人の方々には、
自分たちのしたことが
どれだけ取り返しのつかないことだったかを良く認識して頂き、
猛省をして頂きたいと思います。

ただ、私が心配しているのは、
今後、厚生労働省の役人の方々が
「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」ように、
新薬の認可に極端に及び腰になり、
その新薬を使えば助かるはずの人が助からなくなってしまう、
という事態を招くことです。

特に、中国の漢方薬には良い薬がたくさんあるのですが、
日本の薬事法では多くの漢方薬が
日本に輸入できないことになっています。

このHiQで「気がつけば、あなたもガン」を
執筆されている関根さんは、
医者もさじを投げた、という喉頭ガンを
漢方薬「天仙液」で克服されましたが、
この「天仙液」も日本の薬事法では
日本国内での販売が禁止されていますので、
欲しい人は個人輸入という形で取り寄せなければなりません。

ウイルス入りの危険な血液製剤を認可するのは大犯罪ですが、
海外で既に市販されており、良く効くと言われている薬を認可せず、
本来ならば助かるかもしれない人を見殺しにするのも
また同様に犯罪と言えるのではないでしょうか。


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2008年3月7日(金)

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