第836回
学歴と起業のカンケイ
前回、ぜひ、早いうちに
「このままいくと、オレの人生はどうなるのか?」
ということを真剣に考えて頂き、
必要であれば人生を一度リセットをすることを
おススメします、というお話をしましたが、
言うのは簡単でも、
実際に人生をリセットするのには
大変な決断が必要です。
それは、人生のリセットは、
今までの蓄積が全く無駄になってしまうことや、
今までの自分を否定することにつながるからです。
かく言う私も丸紅を辞める時には、
かなりの葛藤がありました。
一流企業に入社して高い給料と安定した生活を得るために、
それまで10年間も一生懸命勉強してきたわけです。
それが丸紅を辞めて起業するとなると、
10年間の努力は水の泡になってしまいます。
なぜなら、丸紅に入社するためには
高い学歴が必要ですが、
自分で会社を興すのに学歴は必要ないからです。
起業する、ということは、極端な話、
一流大学を卒業した人も、
小学校にさえ行かなかった人も、
同じスタートラインに立つ、ということです。
「大学全入時代」を迎えようとしている
高学歴国家ニッポンで、
起業率がこれだけ低いのは、
こうした背景もあるのではないでしょうか。
では、大学進学率が年々上昇し、
高学歴国家の仲間入りをしようとしている中国も、
今後、せっかくの学歴を無駄にしたくない人が増え、
起業率が下がっていくのか、というと、
そういうことはなさそうです。
というのは、中国人と日本人では、
高等教育を受ける目的が違うからです。
日本ではずいぶん変わってきたとは言え、
やはり、一流企業に入って高い給料と
安定した生活を得るために一流大学に入る、
という人が多いです。
一方、中国の多くの人たちは、
将来起業する時に役立つ高度な専門知識を得たり、
人脈を作ったりするために一流大学に入ります。
このため、
中国では高学歴は将来の起業にプラスとなりますが、
日本では高学歴はむしろ起業を思いとどまらせる
マイナスの要因となってしまいます。
日本の起業率を上げるには、
高等教育の位置付けから変える必要があるのです。
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