第837回
中国製農薬入りギョーザ事件

先日から日本で連日のように報道されている
中国製農薬入りギョーザ事件。

中国河北省の「天洋食品」という会社が製造して
日本に輸出された冷凍ギョーザを食べた人が
下痢、吐き気などの中毒症状を訴え、
そのギョーザを詳しく調べたところ
「メタミドホス」という農薬系の成分が検出された、
という事件です。

農薬が混入した原因については、
調査の結果を待たなければなりませんが、
この「天洋食品」では昨年末に
14人の従業員が理由もなく解雇され、
労働争議に発展していた、とのことですので、
中国側は否定していますが、
従業員が会社への恨みから意図的に農薬を混入させた、
という線が濃厚と言われています。

ニュースの報道によれば、
「天洋食品」はかなり厳しい品質管理を
していたとのことですので、
この事件が解雇された従業員の怨恨によるものだとすれば、
同じ「中国製品の安全性」というカテゴリーではありますが、
無知蒙昧な工場主がただただ生産コストを下げるために
鉛入りの塗料を使った、という
「鉛入りおもちゃ事件」とは本質が違うような気がします。

ただ、今回の事件でビックリしたのは、
問題となったギョーザのパッケージに
「手作り」とか「手包み」という言葉が売り文句として
誇らしげに書かれていたことです。

中国ではギョーザを包む機械を導入するより、
給料の安い従業員を大量に雇ってギョーザを包ませた方が
コストが安いのでそうしているだけだと思いますが、
人件費が高くなって久しい日本では、
「手作り」とか「手包み」というのが「売り」になるんですな。

そう言われてみれば、「機械で打ったそば」より
「手打ちそば」の方がおいしそうに聞こえますし、
「ロボットが握ったすし」より
「職人さんが握ったすし」の方がありがたい感じがします。

しかし、これは中国では全く逆です。
製造に人が介在すればするほど、
間違いや悪意が入り込む可能性が高くなりますので、
中国の人たちは「機械で作ったギョーザ」と
「手作りギョーザ」が店頭に並んでいたら、
ほぼ全員が「機械で作ったギョーザ」を
選ぶのではないでしょうか。

今後、中国は人件費の上昇により、
人海戦術が有効なコスト低減手段で
なくなっていくことが予想されます。
そんな中、人件費の高騰による
工程のオートメーション化で一日の長がある日本企業が、
中国の委託先工場のオートメーション化の
推進を手伝ってあげることが、
延いては、輸入する中国製品の安全性を高め、
今回のような事件の発生を
未然に防ぐことになるのではないでしょうか。


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2008年2月25日(月)

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