第665回
「13億総中流社会」

日本の内閣府は1958年から毎年、
「国民生活に関する世論調査」という調査をしています。
この調査の中に「お宅の生活の程度は、
世間一般から見てこの中のどれに入ると思いますか?」
という質問があり、
「上」、「中の上」、「中の中」、「中の下」、「下」
で答えるようになっています。

1958年、調査開始当初は、
「中の中」と答える人が37%、
「中の下」、「下」と答える人が合わせて49%もいました。

その後日本は高度経済成長期を迎え、
73年には「中の中」と答える人が61%まで増加、
「中の下」、「下」と答える人は合わせて29%まで減少しました。
この「中の中」に
「中の上」と「中の下」を加えると9割を超えたため、
この頃の日本は「1億総中流社会」と言われました。

そして、2004年の調査では、「中の中」が52.8%、
「中の下」と「下」を合わせると33.6%でした。
最近の傾向としては「中の中」から「中の下」へ、
「中の下」から「下」へ落ちる人が増え、
一昨年は「下流社会」という本が
ベストセラーになったりしています。

全体的に貧しかった日本社会は、
高度経済成長期を経て「1億総中流社会」になりましたが、
最近は上流社会と下流社会の二極化傾向が出始め、
「格差社会」になりつつある、
というのがだいたいの流れです。

一方の中国。
中国でも2006年3-7月の間、
社会科学院が中国全土7,140人をを対象に
同様の調査を行いました。

その結果、「中の中」と答えた人は39.6%、
「中の下」と「下」を合わせると53.6%でした。
この数字は日本の1958年の数字と非常によく似ています。

中国はオリンピックと万博を控えて、
もう10年以上高度経済成長を続けていますので、
日本で言えば1960年代半ばぐらいか、
というイメージを持っていたのですが、
国民の意識としては、
まだまだ日本の1950年代なんですね。

今後、中国の高度経済成長の恩恵が一般庶民にも行き渡り、
中国政府が推し進める
「全面的小康(しゃおかん、ややゆとりがある)社会の建設」
が実現すれば、
二極化して「格差社会」になりつつある
「総中流」の本家・日本を尻目に、
中国は日本の70年代のような「13億総中流社会」に
なっていくのではないでしょうか。


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2007年1月22日(月)

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