第664回
「中国はもう自力で成長できるんです」

今年3月の全人代に上程される予定の
企業所得税改正法案は、
「中国はもう外資に頼らなくても、
自力で成長できるんです」という
中国政府の意思表示にほかなりません。

「高度経済成長の恩恵を受けたかったら
わが国に投資してもよいですが、もう優遇はしませんよ。
国内企業と同じ条件で競争してください」
ということなのです。

25年前、改革開放政策を始めた中国政府は、
だらけきった国有企業に頼っていては
経済成長は不可能と判断、
外資を積極的に誘致して経済成長の起爆剤とするべく、
沿海部に経済特別区や経済技術開発区を設けました。
そして、外資企業には通常の半分以下の企業所得税率や、
二免三減(利益が出始めた年から2年間免税、3年間50%減税)
などの優遇措置を与えて、外資の投資を促進したのです。

その後、中国政府の外資導入政策は成功し、
中国は高度経済成長期に突入しました。
中国国内企業も、恐竜のように図体ばっかり大きくて、
変化に対応できなかった国有企業はどんどん淘汰され、
変わることのできた強い国有企業と、
個人が起業した後、成長の波に乗って
大きくなった私営企業が力を付けてきました。

その結果、中国は「世界の工場」と呼ばれる
製造業の一大集積地となり、
輸出の増加により
世界一の外貨準備高を誇るまでになりました。
ここまで来てしまえば、
外資の起爆剤としての役割は既に終わっていますので、
企業所得税を優遇してまで
投資してもらう必要がなくなってしまったのです。

ただ、今回の企業所得税改正法案でも、
国家重点ハイテク企業には外資企業、国内企業に関わらず
15%の優遇税率が適用されることになっていますし、
環境、省エネ関連企業についても
優遇が与えられることになっています。

中国は「外資ならなんでも優遇」の時代から、
「外資でも国内企業でも、
投資して欲しい分野への投資は優遇」に
変わりつつあるのです。


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2007年1月19日(金)

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