第616回
山西麺料理のパフォーマンスレストラン

山西省で石炭以外に有名なもの、
と言えば、お酢と麺類です。

山西省のお酢は太原市清徐区の
「老陳酢(らおちぇんつー)」が有名です。
一般的な中国のお酢は、
無色透明な日本のお酢と違って、
コーリャンが主原料の黒酢です。

最近、日本では健康食品として
中国の黒酢が注目されているようで、
インターネットで「老陳酢」をキーワードに検索すると、
たくさんの健康食品販売サイトがヒットします。

山西省の人たちの食事にはお酢が欠かせません。
レストランに入ると、必ず目の前の小皿にお酢が注がれ、
みなさん出てきた料理をつけたり、
お酢を料理にかけたりして食べます。
中には小皿に注がれたお酢を、
食事の前に飲んでしまう人もいます。
こうした昔からの習慣が、
無意識のうちに山西省の人たちの
健康を守っているんですね。

山西省のもう一つの特産品は麺類です。
日本では練った小麦粉の生地を腕に乗せて、
刀で削って煮立った鍋の中に入れる
「刀削面(だおしゃおみぃえん)」が有名ですが、
山西省には他にも様々な麺があります。

1つの大きな生地から長い長い
1本の麺を引っ張り出してどんどん鍋に入れていく
「一根面(いーげんみぃえん)」、
小さくちぎった生地を親指で押しつぶして
猫の耳のようにする「猫耳朶(まおあーるどお)」、
生地をお箸ではじいて鍋に入れていく
「剔尖面(てぃーじぇんみぃえん)」などなど。
食べるのも楽しいですが、
作るのを見ていても楽しい麺がたくさんあります。

そして、その麺にからませたり、かけたりするソースも、
トマトとタマゴのソース、ひき肉ソースなどたくさんあり、
麺とソースの組み合わせは数え切れないほどになります。
この辺のコンセプトは、イタリアの「パスタ」そっくりです。

こうした山西麺料理のパフォーマンス性に
目を付けて作られたのが、北京の山西料理専門店
「面酷loft(みぃえんくーろふと※1)」です。
このお店は麺を作る厨房が
モダンな内装のレストランのど真ん中にあり、
どの席からでもコックさんが
様々な麺を作る技を見ることができます。

中国では肉料理や野菜料理を食べた後で
お腹のすきまを埋めるために食べる、
比較的地位の低い料理である麺料理を、
モダンなパフォーマンスレストランに仕立てた
「面酷loft」の老板には感服します。

これなら日本でやっても
十分お客さんを集められると思うのですが、
日本のレストラン業界のみなさん、
いかがでしょうか。

※1 http://www.chinasupercity.com/800.html


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2006年9月29日(金)

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