第477回
「第11次5カ年計画」
中国では先月、
中国共産党第16期中央委員会第5回全体会議
(5中全会)が開かれました。
中国共産党は5年に1度党大会を開きますが、
次回大会までの間は、
年1回程度の割合で中央委員会全体会議を開きます。
今回の5中全会はそういった位置付けになります。
今回の5中全会における最大の目玉は、
2006年から2010年までの
「第11次5カ年計画」草案の採択です。
「5カ年計画は社会主義計画経済の象徴である」
と社会の授業で習いましたが、
これだけ資本主義の世の中になっても、
やっぱり中国は「5カ年計画」を策定するんですね。
今回採択された
「第11次5カ年計画」草案の方向性は、
今までの経済成長至上主義が生み出した
ひずみや弊害を是正、
「和諧社会(はーしえしゃーほい、
調和の取れた社会)」を目標に、
重点を「加速発展」から「協調安定」に移す、
というものです。
「カネ、カネって言ってると、
ココロがすさむでしょ。
だから、みんなで協力して、国民全員が
小康(しゃおかん、ややゆとりがある)
状態になるような国にしようよ」
というのが胡錦涛総書記のメッセージです。
こういったビジョンを
具体的な数字と一緒に示してもらうと、
国民としては
「政府がこの国をどういう方向に
持っていこうとしているのか」
ということがわかって、
非常によろしいのではないか、と思います。
一方の日本。
日本政府の予算、というのは
毎年1年分の予算しかありません。
1つ1つの政策については、
中期計画を立てているのかもしれませんが、
国家全体の中期計画、
というのは聞いたことがありません。
それゆえに、政見放送や国会中継を見ていても、
「日本政府が5年後、10年後のこの国を
どういうカタチにしようとしているのか」
という国全体のビジョンが、
今ひとつ具体的に見えてこないのかもしれません。
日本は中国のような
一党独裁国家ではありませんので、
達成できなかった時のことを考えると、
めったな数字は出せない、
というのはわかるのですが、
今の中国を見ていると、
日本政府も中国にならって、
「5カ年計画」のような具体的な中期計画を、
策定した方がよいのではないか、
と思えてくるのです。
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