第468回
「日本風中国料理」で勝負!
最近、北京の日本料理業界は、
「専門店化」が進んでいます。
この半年にオープンしたものだけでも、
やきとり屋、ラーメン屋、串揚げ屋、
焼肉屋、うなぎ屋、すし屋などなど、
従来の「なんでもありますの日本料理屋」とは、
一線を画すお店が増えつつあります。
これは、第419回 「日本料理はまずい」
でもお話ししたように、
「日本料理は儲かる」とわかったとたんに、
たくさんの日本料理屋が雨後のたけのこのように乱立し、
価格競争を始めたことが原因です。
値段が安いことでしかお客さんを呼べない特徴のない店は、
どんどん採算が悪化し、淘汰されつつあるのです。
中には「店長命令:北京の日本料理価格を破壊せよ!」
という過激な広告を日本語雑誌に載せて、
モツ鍋をたったの10元(140円)で提供し、
徹底的な価格競争を挑む日本料理屋もありますが、
利益率の向上を考えた場合、
「これだけは他の店に負けない!」というおいしい料理を、
ある程度高い値段で出す、という
「専門店化」は、自然のなりゆきなのです。
北京の日本料理業界は「専門店化」とともに、
「日本人オーナー化」が進んでいます。
日本に留学した中国の人たちが、
「儲かるから」という理由で、
みようみまねで作る日本料理ではなく、
子供の頃から日本料理を食べて育った日本人オーナーが、
ホンモノの日本の味を提供する、
という日本料理屋が増えています。
現状、こうした日本人オーナーの日本料理屋は、
北京に住む約1万人の日本人を主なターゲットにしています。
それでもそこそこ食っていけるのでしょうが、
人口1万人の村に日本料理屋が200軒も300軒もあるのは、
どう考えても異常な状態です。
更なる飛躍を考えたら、やはり、
1,500万北京市民に来て頂くことを
考えなければいけません。
ただ、いくら日本料理が好きな中国人でも、
毎日、日本料理を食べているわけではありません。
普段は、中国料理を食べています。
ならば、マーケットの大きい中国料理で勝負、
ということになりますが、
日本人が中国で中国料理のレストランを開いても、
本場中国の人たちに太刀打ちできるわけもありません。
日本人ならではの一ひねりが必要です。
邱さん曰く、
「一頃、アメリカで大ハヤリになったベニハナにしても、
どうしてアメリカでチェーン店を展開できたかというと、
日本料理ではなくて日本風にアレンジした
アメリカ料理だったからである」。
となれば、日本人が中国でレストランを開いて
大成功を収めるには、
やっぱり、エビチリとか、天津丼とか、
そういった中国にはない
「日本風中国料理」で勝負!、でしょうか。
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