第467回
1億円のオフィスと2,000万円のベンツ
先日、個人企業の社長をしている
中国人の友人のオフィスに行ってきました。
彼の会社は、石炭、石油、鉄鉱石など
資源関係の貿易を生業としており、
ご多分に漏れず、
昨今の資源価格の高騰で大もうけをしたようです。
迎えに来てくれたベンツが日本円にして2,000万円。
三元橋近くのビルにある800m2のオフィスは1億円。
これらを全て即金で買った、とのことですので、
大した羽振りの良さです。
一見、相場で大もうけしたただの成金のようですが、
さにあらず、
社長はいたって冷静に「オフィスもベンツも
「商売道具」なので、仕方なく買った」と言うのです。
中国にも「帝国データバンク」のような、
企業信用調査の会社はありますが、
そこから出てくるデータは、
その会社がお役所に申告したものですので、
参考程度にはなりますが、
その会社の本当の実力を判断することはできません。
では、中国の人たちは、
どのようにして相手の会社の実力を測るのか。
それは、実際に相手の会社に行って、
オフィスや社用車を見たり、
実際に社長と会って、
その身なりや話し振りを見たりして、
その会社の実力を推察するのです。
そして、立派なオフィスを持っていたり、
社用車が高級車であったりすれば、
「それだけのカネを稼ぐ実力がある」、
即ち、「付き合って損はない会社」と判断します。
日本では、いくら儲かっても、
オフィスが倉庫の片隅にあったり、
社長が電車で会社に通ったりする会社が、
「堅実でよろしい」とされますが、
中国でそんなことをやったら、
誰にも相手にされなくなってしまうのです。
実際、社長が1億円のオフィスと
2,000万円のベンツを買った後、
北京の資源業界で
「アイツは最近、随分羽振りがいいらしい」
といううわさが流れ、
8年前に起業した時には、
全く相手にしてくれなかった国有企業が、
向こうからアプローチをかけてきている、とのことです。
カネの匂いに敏感な中国の人たちには、
こうした「商売道具」は非常に有効なようです。
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