第466回
タダより安いものはない
中国でMP3が大流行している3つ目の理由。
これが流行の最大の理由なのですが、
音楽がタダでいくらでもダウンロードできることです。
アメリカでも日本でも、
音楽配信各社はダウンロード1曲当たりいくら、
という形で課金するシステムをもっており、
その1曲当たりの単価の安さと、
配信できる曲数の多さを競ってしのぎを削っています。
しかし、ここ中国では、なぜだかわかりませんが、
今流行の曲が何曲でも
タダでダウンロードできてしまうのです。
これが、アングラの違法サイトからこっそりダウンロード、
という話ならわかりますが、
今年8月、ナスダックに上場した、
中国検索エンジン最大手
「百度(ばいどぅー)」などの
ちゃんとした合法的なサイトから、
何のやましさも感じることなく、
タダでダウンロードができてしまうのです。
「音楽を、会社のパソコンから、
いくらでもタダでダウンロードできる」
ということになれば、
「音楽を聴きながらの通勤」は、
180元のMP3プレーヤーさえ買えば
実現できることになります。
そりゃ、大流行もしますわな。
このMP3の大流行で最も大きな被害を被っているのは、
香港や台湾の歌手とレコード会社でしょう。
特に、香港の歌手は、従来、広東語で歌を歌っていたのですが、
20年ほど前から、13億人の巨大市場を狙うべく、
なれない普通話(ぷーとんほあ、標準語)で
歌を歌うようになってきました。
そうしてようやく、13億の巨大市場が
お金持ちになり始めたとたんに、
タダでダウンロードできるMP3の大流行です。
もう、中国大陸で、CD販売の印税収入を
期待することはできません。
せっかく一生懸命、普通話勉強したのに...。
今後、中国でもブロードバンドの高速化によって、
音楽だけでなく、映画なども
タダでダウンロードできるようになることが予想されます。
そんなことになれば、北京の街で、
「みるみる!でぃーぶいでぃー!
じゅーげん!やすいよ!」と
日本語で声をかけてくる
海賊版DVD売りのおばさんたちも、
失業してしまうのかもしれません。
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