第419回
「日本料理はまずい」

現在、北京には200-300軒の
日本料理屋があると言われています。
しかし、そのほとんどは、中国人の人が開いたもので、
日本人が経営する日本料理屋は
数えるぐらいしかありません。

なんでそんなに多くの中国人の人たちが
日本料理屋を開くのかと言うと、
日本料理は儲かるからです。
同じ牛肉炒めでも、中国料理の店では、
15元(225円)前後しか取れませんが、
同じ素材でも、味付けを変えて
「日本料理の牛肉炒め」として出せば、
倍以上の値段が付けられます。

4月の反日デモの際も、
デモ隊の襲撃を受けた日本料理屋は、
全て中国人経営の店でした。

「裸一貫から店を始めて、
何年もかけてやっとここまで大きくしたのに、
日本料理屋だというだけで、
同じ中国人に店を壊されて本当に悔しい!」
と、悔し涙を流す、
中国人日本料理店経営者の姿が、
日本のテレビで放映されたそうですが、
彼らは、儲かるから日本料理屋をやっているだけで、
別に、日本の手先でもなんでもないのです。

みなさん、そんな動機で
日本料理屋を始めていますので、
北京でちゃんとした
日本料理を出す店は多くはありません。
もちろん、中国人の人が開いた日本料理屋にも、
おいしい店はあるのですが、
中には、中国の人たちに「日本料理はまずい」という
誤った認識を与えかねない、
ひどい日本料理を出す店もあります。

こういう日本料理屋の経営者は、
「日本に留学していた時に食べた日本料理を
マネして作ってみました」という人が多い様です。
中には、日本にも行った事がなく、
ちゃんとした日本料理を食べた事もなく、
天ぷらや肉じゃがの写真を見て、
「こんな感じかなぁ〜」と作り方を想像しながら、
日本料理を作っている人もいると聞きます。

北京の日本料理業界はこんなですので、
北京の人たちの多くは、
「日本料理はまずい」という認識を持っています。

私は「日本料理はまずい」という中国人がいると、
その人を中国大飯店の「なだ万」に連れて行きます。
天下の「なだ万」の日本料理を食べさせれば、
さすがの彼らも
「日本料理がこんなにおいしいものだとは思わなかった」
となります。
こんな形で日本料理の汚名をそそぐ事ができれば、
私も一日本人として、非常にうれしいです。

ただ、「日本料理はまずい」と言う人が出てくる度に、
いちいち「なだ万」に連れて行ったのでは、
お金がいくらあっても足りませんが...。


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