第462回
中国の中古品ビジネス
日本では不景気が長く続いていたせいもあって、
中古品ビジネスが花盛りのようです。
昔からある住宅、自動車、本などに加え、
パソコン、事務機器、厨房設備などを
いらなくなった人から安値で買い取り、
故障を直したり、きれいに磨き上げたりして、
付加価値を付けた上で、
新品より安く買いたいと思っている人に売る、
というやり方です。
また、ネットオークションも流行っているようです。
個人がいらなくなってものを、
ネット上のオークションに出品して、
一番高い値段を付けた人に売る、というものです。
これに対し、中国では、
中古品ビジネスがほとんど見当たりません。
住宅、自動車、本、パソコン、事務機器、厨房設備、
どれをとっても、新品で買うのが当たり前であり、
新品で買ったものを耐用年数いっぱいいっぱいまで使い切る、
というのが常識です。
なぜ、中国では中古品ビジネスが育たないのでしょう。
「景気が良いので、変なところでケチる必要がないから」、
「倒産した会社のものだったりしたら、縁起が悪いから」、
「中古品なんか買うと、メンツが立たないから」、
「新品を買うのが当たり前だから」。
いろいろな理由があると思いますが、最大の理由はやはり
「前に使っていた人が信じられないから」
ということだと思います。
例えば、自動車の場合。
一見しただけでは、
前の人がどういう乗り方をしていたかわかりません。
外見はきれいなのに、実は、
前に乗っていた人がとんでもなく運転の荒い人で、
買ったとたんにエンジンがこわれてしまう、
なんていうことも考えられます。
ただ、これだけ自動車が売れ始めれば、
数年後には買い替えにより、中古車が売りに出され、
マーケットが形成されることが予想されます。
その場合、中古車ビジネスのポイントとなるのは、
「整備」と「保証」です。
中古車仲介業者は、買い付けた中古車に、
利益を乗せて右から左に流すのではなく、
ちゃんと責任を持って整備をしたものを販売し、
販売後5年間は無料で修理する、などの
保証を付ける必要があります。
そういった意味では、ネットオークションなど、
中国では成立不可能です。
「思っていたものと違う!」、「こわれた!」、
「カネ払え!」、「カネ返せ!」。
全ての取引が何らかの理由でもめることは、
火を見るより明らかです。
売り手と買い手がお互いを全く信用していない中国で、
中古品ビジネスやネットオークションを成功させるには、
間に入る人が、信用を付与することが不可欠なのです。
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