第461回
「外運華通」の黒字化

今後1年、当社の最大の課題は、
北京シノトランス包装運輸部の経営権を取得して設立した
「北京外運華通包装運輸代理有限公司(外運華通)」を、
黒字体質に変えることができるか、という点です。

元々、北京シノトランスの包装運輸部は
赤字を垂れ流していました。
だからこそ、当社のような民間の個人企業が、
末端の一部門とは言え、
国家の財産である国有企業の権益を
買うことができたのだと思います。

国有企業の会社経営はいいかげん、
とはかねてから聞いていましたので、
ある程度は覚悟していたのですが、
開けてビックリ!、
会計はあってないようなどんぶり勘定、
従業員は「いかに楽して給料をもらうか」という、
国有企業根性が染み付いた人ばかり。
これじゃー、赤字垂れ流しにもなりますわな。

「外運華通」設立後、この半年間、
私のパートナーの劉さんは、
毎日のように「外運華通」に通い詰めて、
経営の建て直しを行いました。

財務諸表の整備、
売掛金の回収期間短縮、
国有企業根性が染み付いた従業員の解雇、
やる気と能力のある若手の抜擢、
成果主義に基づく社内人事制度の整備。

これらは民間企業の経営では
当たり前のことばかりなのですが、
元国有企業の「外運華通」では、
頭を切り替えられない
「抵抗勢力」の人たちの
激しい抵抗に遭いました。

日本の郵政民営化とは
比べようもないほど小さな規模ではありますが、
「外運華通」の民営化改革は困難を極めました。

そんな中で、一つの転機となったのが、
某超大国大使館の国際引越の入札でした。

「外運華通」の経営建て直しをする中で、
人件費や諸経費を無理に削ると、
従業員の士気の低下や造反を招く恐れがありましたので、
黒字化には売上の増加が絶対に必要でした。

この超大国の大使館は、
北京にある大使館の中でも、おそらく、
館員が最も多い大使館の一つであり、
落札すればかなりの売上増加が見込めましたので、
「外運華通」全社を挙げて、
日夜、完璧なる入札資料の作成に励みました。

そのかいあって、先日、同大使館から連絡があり、
「外運華通」はめでたく
落札した4社の中に入ることができました。

この落札により、
「外運華通」の従業員の士気は大いに上がりました。
「自分たちもやればできるんだ!」という
自信につながっているようです。
現在、営業部門も引越作業部門も、
はりきって同大使館対応の体制を整えています。

「外運華通」が安定的な黒字化を
達成する日はそう遠くはない。
生き生きと働く彼らの姿を見ていて、
そう確信しました。


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