第454回
中国の中間管理職人材不足

先日、近所の日系コンビニに買物に行ったのですが、
あまりのサービスのひどさにビックリしてしまいました。

100u程度の小型店舗に店員が5人もいるのですが、
まずは、入店しても「歓迎光臨(ほぁんいんぐぁんりん、
いらっしゃいませ)」の声、一切無し。

更に、このお店にはレジが2つあるのですが、
どんなにお客さんが並ぼうが、
レジに付くのは1人だけ。
あとの4人は、納入業者の対応、
商品の棚出しをしています。

納入業者の対応をしている店員は、
納品手続をアイスクリームの
冷凍ボックスの上でやっており、
お客さんがアイスクリームを買おうとしても、
伝票や商品をどける気配無し。

商品棚出し係は、棚出しを終えた空のダンボールを
足で蹴ってバックヤードに入れる。

「お客がいようがいまいが、俺には関係ない。
なにしろ、自分の仕事をとっとと終わらせて、
早く帰りたい」という気持ちが丸出しです。

いや、これが「快客(くぁいかー)」とか、
そういう中国資本のコンビニだったら、
「あー、やっぱ中国だなー」と思うだけで済むのですが、
日系の看板がかかっていると、
こちらも過度な期待をしてしまうんですね。
別に、特別高いお金を払っている訳でもないのに...。

今回の日系コンビニの惨状を見てわかったのは、
「良質のサービスを売りにしたお店を、
中国でチェーン展開するのは非常に難しい」
ということです。
「品質の高いモノ」や、「きれいな内装の店舗」は
いくらでも増やせますが、
「サービス精神を持った店員」は
一朝一夕には増やせません。

別に、店員全員が
サービス精神を持っている必要はないのですが、
せめて、店長ぐらいは「お客様あってのこのお店」
という意識を持っていて欲しいです。
そして、店長は店員を常に監視、
店員は店長の命令には絶対服従、
という軍隊のようなルールを導入する必要があります。

しかし、チェーン展開を急ぐと、
そうした意識の高い、店長候補の人材でさえ、
足りなくなってしまいます。

どんどん拡大する前線に優秀な人材を送り続けると、
後方の思わぬところでほころびが続出して、
「ブランドイメージの低下」という、
全軍を敗戦に追い込みかねない
危機的な事態を招いてしまう可能性もあります。

中国には単純作業労働者はいくらでもいますが、
小さなビジネスユニットを任せることのできる
中間管理職人材は極端に不足しています。
こうした事態は、コンビニ業界に限らず、
外資企業が中国で業容を拡大する際の、
最大のネックになっているのです。


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