第453回
「世界一!コンサルタント」

中国の人たちはなにしろ
「世界一!」とか「世界初!」が大好きです。

ですから、外国企業が中国で新製品を発売する場合、
「本国で売れなくなった製品を持ってくる」
なんていうのはもってのほか。
「世界同時発売」どころか、
「世界に先駆けて中国で先行発売!」
ぐらいの勢いが必要です。

中国でマーケティングを行うには、
日本と違って「プライド」や「メンツ」が
非常に重要なキーワードとなるのです。

こんなマーケットですので、
中国の広告にはたくさんの
「世界一!」や「世界初!」の文字が躍ります。

先日、タクシーに乗っていて見かけたのは、
高級分譲マンションの広告。
「世界一!高いところにある空中庭園!」
「世界初!全面網入り強化ガラスで仕上げた壁面!」。

本当に「世界一!」、「世界初!」なのかは分かりませんが、
確かに、インパクトは非常に強いです。
このマンションの部屋を買えば、
「世界一!」、「世界初!」のマンションに住んでいる、
ということで、自分自身も気分が良いですし、
友達を招いた時には、
「世界一!」や「世界初!」の自慢ができます。
中国的に言うと、非常に
「有面子(ようみぇんつ、メンツが立つ)」なのです。

こう考えていくと、中国では、
「世界一!コンサルタント」なんていう商売も
可能かもしれません。

例えば、高級分譲マンション建設の場合、
設計段階から「世界一!コンサルタント」がチームに加わり、
「世界一!」を謳えそうなものを設計に入れ込み、
それを宣伝の目玉にするのです。

こうした「世界一!」を謳うことによって、
マンションがその地域の相場より高く売れる、
ということであれば、
「世界一!コンサルタント」が生み出す付加価値は、
非常に大きいのではないでしょうか。

ただ、いろいろな会社にコンサルティングをしていくうちに、
だんだんとネタがなくなってきて、
「世界一!高いところにある
滝があってチューリップが咲いている空中庭園!」とか、
「世界初!全面網入りの上につや消し加工を施した
強化ガラスで仕上げた壁面!」とか、
そういったやたらと条件が細かい
苦し紛れの「世界一!」や「世界初!」を
作ることになってしまうかもしれませんが...。


←前回記事へ 2005年9月16日(金) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ