第450回
「お金はあるのに代金を払わない中国企業」
次に、「お金はあるのに代金を払わない中国企業」。
これは、日本企業が中国マーケットに進出を開始して以来、
ずーっと続いている、中国ビジネス最大の問題です。
中国起業をする個人にとっても、
中国企業にモノやサービスを売る仕事をする限り、
この問題はついて回ります。
通常、日本では、取引を開始する前に、
取引先の信用調査をして、その支払い能力から、
どの程度の与信をして良いかを判断します。
中国にも「帝国データバンク」のような
企業信用調査の会社はあるのですが、
貸し倒れリスク回避のためには、
こうした信用調査はあまり役に立ちません。
なぜなら、彼らは支払い能力があっても、
払いたくないものは払わないからです。
中国企業は「払わないと業務に支障をきたす取引先」から
順に払っていきます。
「次回の納品を止められたら、工場が止まってしまう」とか、
「来月もサービスを受ける必要がある」とか、
そういう会社には、期日通りきっちり支払いを行います。
逆に、「もう二度と付き合わない会社」とか、
「買い手市場なので、払わなくても納品してくる会社」とか、
そういう会社の支払いは後回しになります。
後回しにしているうちに、相手が忘れてくれたり、
諦めてくれたりすれば、「ラッキー!坊主丸儲け!」、
ってなもんです。
払わない中国企業の手口は、だいたい
「難癖つけ戦法」か「のらりくらり戦法」です。
「難癖つけ戦法」の場合、
買い手は提供されたモノやサービスに
いろいろと難癖をつけて値引きを迫ります。
値引きが100%受け入れられるまでは、
それを理由に支払いを止めます。
売り手は代金の全額を
カタに取られての交渉ですので、
勝ち目はありません。
泣く泣く、値引きを飲んで、
代金の一部を回収することとなります。
「のらりくらり戦法」の場合、
買い手ははっきりと「払わない」とは言いません。
何度督促しても、さまざまな「払えない」理由を並べ立て、
「これが解決したらちゃんと払いますから、
もうちょっと待ってください」と言って、
相手が根負けするのを待ちます。
こうした輩に対しては、
最終的には裁判で白黒はっきりさせて、
裁判所に強制執行をしてもらう、という手がありますが、
未収額がそれほど大きくない場合は、
裁判のための弁護士費用の方が高くついてしまう、
なんてこともありえます。
やはり、貸し倒れのリスクを回避するためには、
中国企業が自ら進んで代金を支払ってくるような、
魅力的で競争力のあるモノやサービスを提供することが、
最も効果的な対策なのかもしれません。
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