第410回
結婚式費用の「インフレ」
中国の結婚式は、日本の結婚式とは違い、
まだまだシステム化されていません。
会場の手配、結婚式の司会者の手配、車のレンタル、
ウェディングドレスのレンタル、美容院など、
全て、新郎新婦がそれぞれの会社と交渉して、
自分たちで手配しなければなりません。
北京には、手数料を払うと、
これらの面倒な手配を全て一括して
代行してくれる業者もある様なのですが、
日本の様な結婚式を専門で行う「結婚式場」は
まだない様です。
一方で、北京の人たちが結婚式にかける費用は、
どんどん大きくなっています。
1990年、北京の人たちが結婚式にかける費用は、
平均で1,000元(1.5万円)足らずでした。
しかし、現在は、平均で2万元(30万円)と、
この15年間で、実に20倍にもなっています。
これは、以前に比べて北京の物価が高くなった、
という事もありますが、
それ以上に、経済成長によって、
人々が豊かになってきた為、
結婚式がどんどん豪華に、
どんどん大規模になった事が
大きく影響していると思われます。
15年前は、親族とごく親しい友達だけを集めて、
家の中や、その辺のレストランで
こじんまりとやっていた結婚式が、
今では、高級車の車列を組んで会場に乗り付け、
100人以上の参列者を呼んで、
盛大に催される様になった訳ですから、
そら、お金もかかりますわな。
更に、メンツを重んじる、中国人の気質も、
結婚式費用の「インフレ」に拍車をかけている様な気がします。
中国では、たくさんの人を呼んで食事をふるまう事は、
非常に「有面子(ようみぃえんつ、メンツが立つ)」な事です。
故に、結婚式にはできうる限りたくさんの人を呼ぼうとする為、
結婚式はどんどん大規模化します。
一方、参列者に「ケチ」と思われる事は、
非常に「没面子(めいみぃえんつ、メンツが立たない)」な事です。
「他の人の結婚式より太っ腹」と思ってもらう為に、
会場も出す料理もどんどん高級化します。
そんな事で、現在、中国の結婚式マーケットは、
「お金を払う人の財布のひもは緩みきっているのに、
その受け皿が全く整備されていない」という状態です。
世の中にこんなおいしいマーケットがあるでしょうか。
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